ヒメザクロ

自然
ザクロ - 漂う特別な存在感

 ザクロ(柘榴)は、ミソハギ科ザクロ属の落葉小高木。原産地は様々な見解があるが、イランのザクロス山脈地方との説がある。当初は果実として栽培され、その後ギリシャ・ローマ時代には地中海沿岸へ、イスラム圏には言及がある聖典クルアーンの時代に広がり、インドや中国には伝統的医療健康法のアーユルヴェーダが推奨する滋養薬として重用された。ザクロは、世界的には、食用、薬用、そして宗教的な側面を持ちながら、広く普及した。日本へは、平安時代に中国から薬用目的で渡来したが、江戸時代には観賞症の園芸種を創出したり、現代では健康志向の食品としても利用されている。植物としてのザクロの見どころは、初夏の真紅の花、盛夏の球形に膨れた果実もだが、晩秋の裂けた果実からあふれる多数の赤い果肉は、他の植物にないインパクトが有る。これが子孫繁栄の象徴になったり、神話の中では禁断の果物になったりする感覚は、日本人には想像し難い点もあり異国風な存在だと思う。そんなことはお構いなしに、ザクロは日本の庭や公園の片隅で普通に生き続けている。 【基本情報】 ・名称:ザクロ(柘榴、若榴) ・別名:セキリュウ(石榴) ・学名:Punica granatum ・分類:ミソハギ科 ザクロ属の落葉小高木 ・原産地:西アジア(イランのザクロス山脈地域) ・分布:日本には平安時代に渡来し、現在は東北地方から沖縄に植栽される ・花言葉:円熟した優雅さ ■生態 ザクロは雌雄同株で、太い幹の上方で枝が曲りくねってつき、こんもりとした樹形になる。幹は灰褐色で、樹皮は不規則にめくれる。春になると、冬芽から芽生えたばかりの葉は、赤味を帯びる。やがて葉は光沢のある楕円形となり、枝に対し対生する。また、枝先はトゲ状になる。 ■花 今年伸びた枝の先に、赤く球形の蕾がつく。蕾が成長すると、形状は楕円体に膨らみ、これが花を支える萼の機能を果たす。蕾の先端が概ね6つ(5~9の範囲)に裂け、折り畳まれた花弁が覗く。この状態が、所謂ウインナソーセージのタコさんの状態だ。  開花が始まると、中央部には多数の雄蕊が見え、花弁は薄く皺くちゃのままで少しずつ開いていく。花は両性花で、花弁は6枚、そして1本の雌蕊を多数の雄蕊が囲む構造になっている。ところが、雌蕊がなく、雄蕊しか無い雄花も散見される。ザクロの花には、稔性の両性花と不稔性の雄花の2種類が存在する。 ■果実 両性花の花弁が落ち、雄蕊や雌蕊が枯れると、花托が発達して果実になる。成長の過程で果実は球形に膨らみ、果皮は黄緑色に赤味がかかる。秋の熟成期には、果皮は赤くなる。やがて、黄葉の時期になると、果実が不規則に裂け、赤く透き通った果肉の粒が現れる。冬には果実が枝に残り、果肉に含まれる種子が、鳥に食べられて拡散される。 ■ザクロの園芸種 赤いザクロの花を、白色に置き換えたような園芸種がある。代表的なものにスイショウザクロ(水晶柘榴、別名:白実柘榴)がある。果肉の色も白いらしい。民家の庭で、時々見かける。  八重咲きに改良されたものに、ハナザクロ(花柘榴、別名:八重石榴)がある。一見すると、とても柘榴と思えない豪華さだが、八重咲きの宿命で結実はしない。  ヒメザクロ(姫柘榴)はザクロと同属の落葉樹(学名:Punica granatum 'Nana')で、樹高は1m未満。花や果実などはザクロとそっくりだが、全てが相対的に小さい矮性の栽培種。実物を見ると、スケール感で区別ができる。 ■ザクロと日本人 ザクロは、古代から、また現代でも薬用としての効果があると信じられてきた。ジュースや抽出物などのザクロ製品は、心疾患、高血圧、高コレステロール血症、癌、糖尿病など様々な症状・疾患の予防や治療に良いとされてる。これに対し、厚生労働省の"「統合医療」に係る 情報発信等推進事業"の記事(詳細はここをクリック)では、"健康に対するザクロの効果に関する強固な科学的根拠は多くありません"とのこと。ザクロの癌に対する科学的根拠を調べてみると、ザクロはフルーツジュース(プルーン、ブルーベリー、グレープ、アップルなど9種)の中で最も高い抗酸化作用を示し、活性酸素が原因となる生活習慣病に対する予防効果が期待できること、また前立腺癌患者にザクロ果汁を与えると、PSA値(前立腺特異抗原)の増加時間を抑制できるなどの効果がある(詳細はここをクリック)。しかし、これらの例は、治療薬というよりもサプリメントに近いものかもしれない。更に研究が進めば、別の局面も見えてくるかもしれないが、この分野でも、ザクロは神秘的な存在のようだ。

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