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ミズキ - 際立つ水平志向

 ミズキ(水木)は、ミズキ科ミズキ属の落葉広葉高木。東アジアの原産で、日本の在来種でもある。春のミズキは根から水を吸い上げ、枝を折ると水が滴り落ちるので、この名がついた。また、ミズキの枝は横方向に伸びる性質があり、これが幹から輪のように分岐するのでクルマミズキ(車水木)の別名がある。この構造によって、横方向の枝に沿って上方には白い花、下方には緑の葉の帯模様が連なる。更に、上下には別の枝もあるので、離れて眺めると、まるで樹木の中に幾つもの階段があるような印象を受ける。この姿はユニークで華やかさがあり、直ぐにミズキだと気がつく。また、夏から秋にかけて、果実が緑から紫を経て黒く変化する様子も素晴らしい。木材としては、成長が早く、軟らかく緻密で加工しやすいので、コケシや箸、漆器の木地、寄木細工、薪炭等に使われる。古くからの在来種ではあるが、実用面以外では人との関わりは少なく、文化的な寄与は少ない。基本的に自生する大きな樹木なので、観賞用に民家の庭に植栽されることはまず無く、最近では植物園や大きな公園でも良く見かけるようになった。 【基本情報】 ・名称:ミズキ(水木) ・別名:クルマミズキ(車水木) ・学名:Cornus controversa var. controversa ・分類:ミズキ科 ミズキ属の落葉広葉高木 ・原産:東アジア(日本、朝鮮半島、中国、台湾、ヒマラヤ、南千島など) ・分布:日本では、北海道、本州、四国、九州に分布 ・花言葉:成熟した精神、耐久 ■生態 ミズキは幹が地面から直立し、途中で様々な方向に枝分かれして横に広がる。樹高は十数m程度あり、水平方向の広がりも大きので、どっしりとした大きさを感じさせる樹形になる。幹の直径は数十cmになり、樹皮は灰色で縦に筋が入る。冬には、赤味を帯びた若い小枝に冬芽が互生するが、上向きにつく傾向がある。 冬芽も枝と同様に赤く、先端に数枚の芽鱗と、その下に幾つかの葉痕がある。 春になると、冬芽から若葉が上向きに芽吹く。新しい枝では、葉は集中してつくので束状に見えるが、時を経て成長すると、葉は枝に対し互生しているのが分かる。葉は楕円形で葉縁は滑らかで、先端は尖る。葉脈が目立ち、凹凸もあり、葉の表面はやや光沢がある。葉は、秋には黄色から山吹色に紅葉するが、あまり鮮やかとは言えない。冬には落葉する。 ■花 新しい枝先から散房花序が出て、上向きに多数の蕾をつける。散房花序の上方は、緩やかな曲面を描き、その中の蕾が三々五々に花に変わっていく。花枝に対し花柄は互生し、その先に緑色の萼筒を介して花がつく。花は両性花で、中央に雌蕊が1本と黄色い葯をつけた雄蕊が4本、そして白い長楕円形の花弁が4枚で構成されている。樹木全体の中では、枝が横方向に伸びて、その上方に多数の花序が連なり、満開時にはこれらが層状に重なるので、見事な景色になる。 ■果実 ミズキの子房は1室で、1個の胚珠を含み、この胚珠が成熟して種子になる。花が終わると、子房が成長し花柱を残した緑色の未熟な果実ができる。果実は核果で、成熟するにつれ、果皮は黄色や薄い紫、更には黒に変化し、完熟する。この果実は、ヒヨドリなどの野鳥やツキノワグマなどの動物の餌になり、拡散する。ミズキの種子は埋土種子と言われ、種子が落ちたところが暗ければ発芽せず、陽が当たる環境になると発芽するが、この発芽能力は10年経っても維持できる。また。ミズキは種子繁殖ばかりでなく、株分けや挿し木などの栄養繁殖も可能だ。 ■ミズキと日本人 日本の森林資源は、木材価格の低迷や造林コストの負担が大きいため、持続的な森林の再生が難しくなっている。このため、成長が早くて伐採までの期間が短い早生樹が注目されている。ミズキは、木材としての用途が多く、成長も早いので、この目的に適っている。 群馬県林業試験場の研究グループが、実際にミズキを植林して研究報告"単木柵を使用したミズキ造林地の初期成長"をまとめた(詳細はここをクリック)。高崎市の試験地にミズキの1.0m苗と0.5m苗を各250本植えて、3年間にわたり成長量、雑草や獣害などを調査した。成長量は両方の苗とも有意差は無いが、1.0m苗は下草や蔓性植物の影響を受け難い。また、1.5mの高さの単木柵で木を囲むと、鹿などの食害を防げること、更に下草の繁茂を防ぐため単木柵に防草シート敷く提案など、ミズキの造林に関する効率的なガイドラインを提示した。 田畑における作物栽培、漁業資源の海や陸上施設などでの養殖、そして林業の世界でも目的に適った造林計画など、人間が資源の活用に対して努力すべきアプローチは、まだまだ尽きないようだ。

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ヤブラン - 自然でも園芸でも人気者

 ヤブラン(藪蘭)は、かつてはユリ科に分類されていたが、現在ではキジカクシ科ヤブラン属の多年草。東アジアの原産で、日本の在来種でもある。ヤブランは、山野では樹木の藪の中で下草として自生し、人里では庭のグランドカバーや田畑の境界領域などに植栽され、何処でも良く見かける存在だ。夏になると、淡紫色の小さなランのような花が穂のように咲き、秋になると緑色から黒色に変化した球形の果実が鈴なりになる。草丈は数十cm程度だが、なかなか個性的な姿だ。実用的には、太く肥大した根が"大葉麦門冬"として、咳止めや滋養強壮などの漢方薬となる。文化的には、万葉集には"山菅"の名で登場したり、現代でも初秋を季語として詩歌に歌われている。園芸の世界では、品種改良によって葉に斑の入ったものが作り出されたり、最近ではサマームスカリとかリリオペ(ギリシア神話のニンフの名)などの異国風の横文字名がつけられ、園芸植物としても人気がある。 【基本情報】 ・名称:ヤブラン(藪蘭) ・別名:ヤマスゲ(山菅)、ノシメラン(熨斗目蘭)、サマームスカリ、リリオペ(ギリシア神話のニンフ) ・学名:Liriope muscari ・分類:キジカクシ科 ヤブラン属の多年草 ・原産地:東アジア(日本、中国、朝鮮など) ・分布:日本では全国各地、主に関東以西 ・花言葉:謙虚、忍耐、隠された心 ■生態 ヤブランの根は太くて短く、所々で肥大する。ヤブランは、種子による繁殖の他に、この株による栄養繁殖も可能だ。このため、ヤブランは群生をつくり易い。株元から、根生葉が出て周辺に広がる。根生葉は、濃緑色で厚く光沢があり、線形で細かな葉脈があり、先は垂れる。株の葉の間から花茎が立ち上がり、花茎の上部に穂のように多数の淡紫色の小さな花をつける。この花序は、花茎と花の間には短い花柄があるので、ややこしいが花序としては総状花序となる。 ■花 初夏になると、総状花序についた蕾が開き始める。花は両性花で、開花すると、黄色い葯のついた雄蕊が6本、雌蕊が1本あり、6枚の花被片がある。花被片は楕円形だが、大きさが異なる。花柄に近い3枚の小さなものが外花被片で萼片に相当し、その上の大きい3枚が内花被片で花弁に相当する。花序の中の花は三々五々咲き始めるようで、開花順序には規則性は無いようだ。花が終わり、花被片や雄蕊が落ちると、子房が成長する。子房には6つの胚珠があるが、この一部が見えてくる。  ヤブランの花は両性花なので、個々の花が密を出し、昆虫を集め、花粉を運んでもらう。ハチやチョウはそれが目的だろう。しかし、小さな花の中でうごめく微小な虫もいる。あまりにも小さいので正体不明だが、樹液を吸ったり、花を食べたりしているのだろうか。 ■果実 ヤブランの子房には6つの胚珠があり、このうち通常は2~4個が果実になると言われている。果実は、最初は黄緑色だが、次第に緑色、更に黒味が加わり、完熟すると黒くなる。果実は蒴果だが、果皮は薄くて脱落し、種子がむき出しになっている。冬になっても少し萎びた果実が残ることがある。熟成した果実は鳥の食料となり、種子が拡散される。 ■園芸用改良種 フイリヤブラン フイリヤブラン(斑入り藪蘭)はヤブランの園芸品種。ヤブランと較べると、葉が少し幅広くなって、葉の縁が黄白色になる。これだけでも、多少優雅に感じる。庭園に植栽されている。 ■近縁種 ヒメヤブラン ヒメヤブラン(姫薮蘭、学名:Liriope minor)は、ヤブランと同属だが、別の植物。ヤブランより小型で、花序につく花の数は少なく疎らで、花茎は葉より短く、繊細な印象を与える。ヤブランは日陰を好むが、ヒメヤブランは陽当りを好む。個体数は、当地ではヤブランよりかなり少ないと思う。 ■ヤブランと日本人 ヤブランは、自然の中では山野の下草として、人里の田畑の畝や庭ではグランドカバーとして生存している。これには正当な理由があるのだろうか? 東京農工大学の研究グループが "アレロパシーで栽培を助ける -アレロケミカルの利用-" の中で、興味深い実験成果を報告している(詳細はここをクリック)。アレロパシーとは、植物が放出する化学物質(アレロケミカル)が他の生物に、阻害的にあるいは促進的な作用を及ぼす現象だ。この研究は、持続可能な農業のために、雑草抑制などを目的としている。 ​被覆植物(グランドカバー)として定評のある7種(ヤブラン、クリーピングタイム、シバザクラ、ヒメイワダレソウ、マツバギク、リュウノヒゲ、ベニーロイヤルミント)を選定し、大学構内で5年間栽培し、雑草抑制効果を確認した。この中で、5年目にはヤブランが最も良い結果を出し、そのアレロケミカル成分を特定した。これにより、農薬や植物調整剤の開発や、被覆植物を活用した環境保全型農業を推進する…との主旨だ。 この研究結果によると、ヤブランが生息している周辺には、他の雑草が生え難く、グランドカバーとして機能していることが証明された。ヤブランは見目麗しくもあり、有用植物でもあるので、最早雑草と呼ぶには、おこがましいのかもしれない。

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自然
カルドン - 地中海の鮮やかな巨大アザミ

 カルドン(英語:Cardoon)は、キク科チョウセンアザミ(Cynara)属の多年生宿根草本。日本では属名をチョウセンアザミ(朝鮮薊)としているが、異国からきたアザミに似た植物と言う意味でそうしたらしい。大陸伝来と勘違いしたのだろうか。実は、カルドンは地中海沿岸地方の原産で、古代ギリシャ・ローマ時代から食用野菜としても利用されてきた。しかし、繁殖力が強いため、移出先のた南米や豪州などでは侵略的外来種として、自生する雑草として扱われている。日本では江戸時代に渡来したが、現在では植物園や好事家の庭に観賞用として限定的に植栽されているのが実情だ。カルドンの姿は、日本の植物とはかけ離れた異国風の風貌だ。花も葉も大きく鋭角的で複雑な形状をしており、ダイナミックな印象を与える。一度でも目にすると、強烈な印象が残り忘れられない。同属の植物にアーティーチョークがある。これは、カルドンを原種とする改良品種で、欧米では野菜として栽培され、姿も良く似ているがややマイルドな感じがする。両者とも長い期間に野菜としての品種改良が進み、形や色のバリエーションが豊富なためか、両者を判別するのは難しいこともある。しかし、原種のカルトンは野性的な印象が強く、地中海の鮮やかな巨大アザミと呼ぶのに相応しい存在感がある。 【基本情報】 ・名称:カルドン(英語:Cardoon) ・別名:- ・学名:Cynara cardunculus ・分類:キク科チョウセンアザミ(Cynara)属の多年生宿根草本 ・原産地:地中海沿岸 ・分布:欧米では野菜として、南米や豪州では侵略的外来種として、日本では稀に観賞用として植栽される ・花言葉:高貴な心、独立、気高さ、誇り、持続、持久力 ■生態 カルドンの繁殖は、種子によるもの、株分けなどの栄養繁殖も可能だが、通常1年目はロゼット状態で越冬し、翌春に茎を高く伸ばして花を咲かせる。早春の若い株は地表に根生葉を広げ、晩春になると株は成長して、直立した茎を2m程度まで伸ばす。葉は奇数羽状複葉で茎に対し互生し、小葉は深く裂け、葉軸には翼がある。同じカルドンでも、野菜作物として品種改良も進んでいるためか、葉や茎の色合いが異なるものもある。‎茎は太く、所々に疎らな小さな棘がある。 ■花 カルドンはキク科アザミ亜科の植物であり、花の成長過程や構造はアザミと同様だ。茎の先に頭状花序をつけるが、頭状花には舌状花は存在せず全てが筒状花で構成され、総苞が多数の筒状花を束ねている。カルドンで特徴的なものは、総苞の周りにつく総苞片の先が鋭く尖っていること、時として総苞が紫色を帯びること、そして花径が10cmを超える程の巨大さだろうか。  頭状花を構成する個々の筒状花の構成は、雄蕊を包む葯筒と雄蕊の葯、そして雌蕊の花柱と柱頭が一直線に並ぶ。初めは、葯が葯筒の中に収まっているが、成長すると葯筒が下がり雄蕊の葯が葯筒からはみ出し、花粉を出す。花粉は昆虫によって他の花の運ばれる。花粉が枯れると、今度は雌蕊の柱頭の先が2裂し、他の花からの花粉の受け入れが可能となる。このような雄性先熟の手順を踏み、自家受粉を防いでいる。  昆虫にとっては、巨大で遠方からの視認性が良く、花粉も豊富なカルドンの頭状花のスペースは、絶好のたまり場だ。花粉を運ぶミツバチ、吸汁性害虫のハゴロモ類の幼虫、何故か小さなショウジョウバエ、そして小ぶりな獲物を狙うハナグモなどの訪問者で賑わっている。 ■果実 花の時期が終わると、それぞれの筒状花は果実をつくる。果実は、痩果であり、果皮と種子が癒着して綿のような冠毛が付着している。痩果は、総苞の中に大量につくられ、風によって冠毛のついた種子を順次拡散する風媒花だ。なかには、冠毛がついたまま越冬するものもある。 ■近縁種 アーティーチョーク アーティチョーク(英名: Artichoke、学名: Cynara scolymus)は、同属の多年草で、別名はチョウセンアザミ(朝鮮薊)。やはり、地中海沿岸原産で、欧州では若い蕾を食用とする野菜で、カルドンから改良されたと言われている。両者は外見上は背格好も大きさも似ているが、総苞片で区別できる。アーティチョークの総苞片は丸みを帯びているが、カルドンの総苞片は鋭く尖っている。アーティチョークは穏やかだが、カルドンは野性的な雰囲気がある。また、食用と言う観点で主な可食部分は、アーティチョークは蕾を、カルドンは蒸し煮にした茎を利用するようだ。 ■カルドンと日本人 カルドンを食用にする習慣が無い日本では、この植物を見かける機会は稀で、もし遭遇したなら、その異国風の姿が個性的なものとして印象に残る。しかし、原産地の欧州や海外の移入先では自生する雑草でもあるので、彼の地の人々が抱く印象は異なる。オランダの研究者が"カルドンの超臨界二酸化炭素油から得たバイオディーゼル油(和訳)"(概要はここをクリック)の中で、バイオディーゼル油生産のための再生可能原料としてのカルドン種油を評価し、ディーゼルエンジンの燃料規格(EN 14214規格)をクリアしていることを示した。バイオディーゼルの原料としては、従来はサフラワーやひまわりを原料にしたものが知られていたが、これにカルドンが加わった。同様に、日本でも全国で大量に繁茂するクズの葉や蔓を原料としたバイオマスの応用研究が始まっている。世界各地で地域の実態に合致したこれらの活動が、地球の温暖化を防ぐ手段となることを期待したい。

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自然
ヤブカンゾウ - 不思議な忘れ草

 ヤブカンゾウ(藪萱草)は、公式にはツルボラン科ワスレグサ属の多年草。従来は形態的観点からユリ科に分類されていた。DNAなど分子系統解析に基づくにAPG分類によって、ススキノキ科となり、更にツルボラン科に変更されたが、これらの科の植物は日本には自生しないので、日本ではワスレグサ科という和名が提唱されている。このワスレグサ(忘れ草、Hemerocallis fulva)とは、カンゾウ(萱草)とも呼ばれ、ヤブカンゾウの一重咲き種とも呼ばれるノカンゾウ(野萱草)や、ニッコウキスゲなどのゼンテイカ(禅庭花)群も含まれる。分類学的には複雑だ。 また、出自も怪しい。ヤブカンゾウは有史以前に中国から渡来したのが通説であるが、中国にはヤブカンゾウはなく、その母種のホンカンゾウが自生するため、中国では朝鮮か日本が原産地だとの説もある。ヤブカンゾウは、日本では北海道から九州まで分布し、やや湿った野原や藪などで、初夏に橙赤色の花を次々に咲かせ続ける。しかし、一つの花の寿命は短く、一日花と呼ばれる程だ。 花の構成も不確定要素が多い。ヤブカンゾウは八重咲きだが、中心部の花弁は雄蕊や雌蕊が変化したもの言われている。変化した花弁の数もまちまちだし、時々見かける花弁に雄蕊の葯が埋め込まれた奇妙な姿にはインパクトがある。花は、どれ一つとして同じものはなく、ユニークな存在だ。また、八重咲きの宿命か、花後に結実することはないので、文字通りの徒花だ。 古くからの自生種であるためか、食用として若い芽を和え物や煮物、天ぷらにしたり、薬用として乾燥した根を利尿、乾燥した蕾を解熱に利用した。また、文化的には"悲しみを忘れる草(忘れ草)"としての象徴的な意味合いがあり、万葉集や今昔物語の時代から登場している。 【基本情報】 ・名称:ヤブカンゾウ(藪萱草) ・別名:ワスレグサ(忘れ草)、オニカンゾウ、カンゾウナ ・学名:Hemerocallis fulva var. kwanso ・分類:ツルボラン科(またはワスレグサ科)ワスレグサ属の多年草 ・原産地:中国か ・分布:日本では、北海道から九州まで ・花言葉:愛の忘却、悲しみを忘れる、憂いを忘れる、一夜の恋 ■生態 八重咲きのヤブカンゾウは、八重咲きの山吹と同様に、染色体が3倍体のため結実せず、種子繁殖はできず、地下で匍匐茎(ランナー)を拡げて、栄養繁殖をする。このため、ヤブカンゾウはこの特定の領域内で群生する。地表には数枚の扇型に広がった葉と、長い花茎が直線的に出る。葉は地表付近では折り畳まれて重なっているが、上部では重なり部分が解け、葉脈は平行脈で、葉の先は自然にしなって垂れる。一方、花茎の断面は円形で硬く1m程度まで直線的に伸び、その先に集散花序をつける。 ■花 花の特徴を説明するに当たり、参照用に同属の一重咲きのノカンゾウ(野萱草)の花の構造を示す。花被片は6枚あるが、外側のやや幅が狭い3枚の外花被片が萼片に、内側の幅広の3枚の内花被片が花弁に相当する。花の中央に雌蕊が1本、その周辺に6本の雄蕊が並ぶ。どの花も同じ構造だ。  ヤブカンゾウの花は、長い花茎の先に花序をつくる。楕円体の形状をした蕾は、萼片に包まれて緑色から橙色に変化しながら成長していく。やがて、花序の下方から開花が始まる。開花した花の構造を下方の花茎側から見ると、花茎とは短い花柄とそれに続く少し長い筒部を介して6枚の花被片にたどり着く。そのうち、細目の3枚が萼片で、太目の3枚が花弁であり、ここまでは一重咲きのノカンゾウと同じ構造だ。視点を上に移すと、花の基部にある6枚の花被片の上に、複数の花弁や雄蕊、場合によっては雌蕊を含む構成要素が搭載されている。これらの構成要素間の数理的な条件も、形状的な制約は無いので、雑然としながらもボリューム感のある印象を与える。この構成は、個々の花によって異なるのが特徴だ。  ヤブカンゾウが八重咲きになるのは、蕊が花弁化した結果と言われる。その証拠として、雄蕊の花糸と葯に沿って花弁のようなものが癒着している様子は観測できた。ヤブカンゾウの花には、長く大きな6本程度の雄蕊の他に、基部にはそれより短い多数の雄蕊が存在するが、これらが雄蕊の花弁化に寄与するのだろうか? しかし、この奇妙な造形はそれほど多いわけでない。八重咲きに寄与している花弁の中には、蕊の形跡が見当たらないものも多数ある。ヤブカンゾウの花は一日花と言われるほど短命なので、開花後に蕊の花弁化が進むとは考え難い。開花前に植物の体内で、どのような花のデザインにするか、予めプログラムが組まれているのだろう。この点も不思議だ。  八重咲きのヤブカンゾウの曖昧模糊とした花の構造を調べてきたが、その幾つかを眺めてみよう。   花が終わると、果実はつくらず、枯れ落ちる。初夏の野原で輝いていた橙赤色の花は、何も残さない。忘れ草の意味合いを思い出し、喪失感が身に沁みる。 ■ヤブカンゾウと日本人 ヤブカンゾウは野生植物として自生していたので、人間がわざわざ生育に手を貸すことはなかった。カンゾウ類(ヤブカンゾウ、ノカンゾウ)を農作物と想定し、農作業を施したときに、どのような特性を示すかを調査した論文がある。日本大学の研究グループによる"農的な畦畔管理に対するカンゾウ類の反応"だ(詳細はここをクリック)。要旨は、【カンゾウ類は、水田のあぜなどに生育する植物であり、一般的な農作業を想定して、草刈り耐性と、表土を撹乱しての栄養繁殖耐性を調査した。草刈り耐性は強く、5月に成長が最も旺盛であった。しかし、表土の撹乱はカンゾウ類の繁殖に大きな影響を与えることを確かめた。】 結論としては、カンゾウ類は人手を加えず放置しておけば毎年芽を出すが、開発行為などで生育領域の表土を荒らすと生存が危ぶまれるということか。決してタフと言えないこの雑草にとっては、有益なガイドラインだ。

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自然
オニグルミ - 人間も動物も大好物

 オニグルミ(鬼胡桃)は、ブナ目クルミ科クルミ属の落葉高木樹。日本の在来種で、樹高は20m程にもなる高木で、湿気のある水辺や山野に自生する。ブナ目の植物に多い風媒花なので花の構造は簡素であり、しかも高い枝先につくので、その存在に気がつく機会は少ない。秋になって漸く枝先より栄養価の高い果実が落下し、野生動物のみならず、縄文時代より日本人の食用として利用されてきた。また、木材は狂いが少なく加工性も良好なので"ウォールナット"として、家具や彫刻材として活用された。薬用としては、種子を生薬"胡桃仁(ことうじん)"として、喘息や便秘に薬効があるとされている。最近では、果実の硬い殻をゴムに混入した冬用のスタッドレスタイヤが話題になった。オニグルミと言えば、ほぼ果実のみが注目を浴びているが、生物としての生活史はどのようなものだろうか。 【基本情報】 ・名称:オニグルミ(鬼胡桃) ・別名:オグルミ、クルミ、カラフトオニグルミ ・学名:Juglans mandshurica var. sachalinensis ・分類:ブナ目 クルミ科 クルミ属の落葉高木樹 ・原産地:日本、サハリン ・分布;日本国内では、北海道から九州までで、屋久島が南限 ・花言葉:あなたに夢中、至福のとき ■生態 冬に落葉すると、オニグルミの樹形が良く分かる。幹は直立せず、中程から横や斜めに大胆に分岐し、樹形は上にも横にも広がる。幹の分岐には規則性はなく、どの方向にも伸びて、太い枝につく小枝の広がりは小さく、樹形に影響を与えない。幹は暗灰色で、若い幹には縦線の模様が入るが、古い幹の樹皮には縦の割れ目が入る。  冬の枝先や側面には、楕円体が突き出したような冬芽が所々についている。やがて春になると、ここから新葉や花序が伸びてくる。また、冬芽の近くには、前年の葉が落ちたときに出来る葉痕があるが、この形を見るとついつい羊の顔を想像してしまう。  春になると、冬芽から若葉が芽生え、展開を始める。葉は枝に互生し、葉の形状は奇数羽状複葉となり、大型で良く目立つ。複葉を構成する小葉は4~10対程度あり、葉縁には鋸歯があり、葉柄は短い。  また、オニグルミは雌雄同株の植物だ。雄花は長い尾のような花序を枝から大量に垂らすので分かり易いが、雌花の花序は上向きにつくので葉に隠れて見えない。果実が成長して、その重みで葉より下の位置に果実が垂れ下がったときに、突然のクルミの実の出現に驚いてしまう。 ■花 オニグルミの花は風媒花であり、昆虫や鳥などに頼らずに花粉を風に乗せて遠くまで運ぶ。このため、花は小さくて目立たず、香りや蜜も無く、必要最低限の機能しかない質素な構造をしている。雄花は前年枝から垂れ下がり、尾状花序を構成する。1つの雄花は、4つの花被と12~20本程の雄蕊を持つ。黄緑色の垂れ下がった雄花序に、雄蕊の茶色の葯が周期的に見え隠れするだけの姿だ。一方、雌花は当年枝に花序をつくり、上向きに10~20程度つく。雌蕊の萼片は緑色だが、柱頭は2つに分かれて鮮やかな赤色となり、毛が密生しいる。これで風に運ばれてきた花粉を受け止めるのだろう。 ■果実 雌花は受精すると、子房が膨らみ、広卵形の若い緑色の果実ができる。果実の表面には細かな毛が密生するが、秋になって果実が熟し始めると、表面に皺が現れる。果実表面の果肉部分は薄く、その内側には硬い殻をまとった堅果(核)がある。これを割ると、渋皮に包まれた栄養豊富な子葉部分があり、これを食用にする。 ■オニグルミと日本人 オニグルミは野生の巨大な樹木であり、その姿には観賞するに値する特筆すべき美点はなく、庭木にも向いていない。やはり。オニグルミは果実だ。かつて、物見遊山で信州の塩田平にある前山寺の"未完成の完成の塔"と呼ばれる重文三重塔を訪れた際に、庫裡で名物の"くるみおはぎ"をいただいた(詳細はここをクリック)。境内の鬼胡桃からつくったと言うタレは、渋みとコクがあってなかなか上品。現代日本人にとってオニグルミは、主食ではなく、和菓子やデザートの世界で存在感を示しているようだ。  もう一つの話題は、オニグルミの生き残り戦略について。東京都市大学らの研究グループは、"オニグルミのアレロパシー活性がニセアカシアの実生の初期生長に及ぼす効果"を上梓した(詳細はここをクリック)。アレロパシー(他感作用)とは、ある植物から放出された天然の化学物質が、他の植物に対して阻害的あるいは促進的な何らかの作用を及ぼす現象を意味する。本研究の背景としては、ニセアカシアは侵略的外来種であり、日本の生態系に影響を与える程分布を拡大しているのにも関わらず、オニグルミが生育する地域ではニセアカシアの侵入が少ないことが観察されている。 ​混植実験と根圏土壌法(根の周辺の土壌微生物や物質の分析)を用いて、オニグルミの根から放出される化学物質"ユグロン"がニセアカシアの初期生長を阻害することがわかった。これは、オニグルミ林がニセアカシアの侵入を防ぐ要因の一つである可能性が示唆されたが、​外来種管理や生態系保全における重要な知見を提供していると思う。更に研究が進み、他にも様々な組み合わせのアレロパシーが見つかればと期待している。  今年は全国的にクマが市街地に出現し、人間を襲って人身被害が多発している。その対策として、北海道ではヒグマが近づかないように市街地付近のオニグルミを伐採している映像がニュースで流れていた。未だ青い果実が幹や葉とともにトラックに積み込まれ廃棄される様子を見るのは残念だ。このような事態になった原因は、地球温暖化か生態系の変化なのか定かでないが、大きな課題に直面したように思う。人間とヒグマの接点の一つが、双方とも大好物のオニグルミだったのは皮肉なものだが納得せざるを得ない。

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自然
雑草は何処にでも生える - 住宅緩衝地帯の草刈り

 現在居住している住宅は、丘陵地を切り開いて住宅地を造成したため、段々畑のように隣接する住宅地とは高低差がある。このため、宅地周辺の一部は法面になり、コンクリートの壁で囲まれている。このような構造にすると、宅地を強固なものにするため、法面に何本かのパイプを通し排水が出来るようにしてある。法面の下から隣家の壁までの幅は1m程度で、その中央には法面からの排水を通す暗渠水路が埋め込まれており、その両脇に僅かにのぞく地表面には小石を敷き詰めている。しかも、両側を壁で囲まれたこの緩衝地帯は陽当りが悪いので、それほど雑草は繁殖しないだろう…と思うのは大間違い。毎年、盛大に雑草が茂り、夏には成長した雑草の草刈り、冬には枯れた雑草の除去が必須となり、年2回のビッグイベントになっている。今回は、夏の草刈りをした。  草刈りの対象となる緩衝地帯は、長さが10m、幅が1m程度の細長い地形。長手方向の両側は法面と壁が立ち、短手方法の両端には高さ1m程の鉄枠付き金網があり、区画の境界表示と不審者侵入防止の役割を果たしている。緩衝地帯を上から見ると、地表が見えないくらい様々な雑草が占有している。今回は、折角の機会なので、どのような植物が生えてきたのか調べてみた。  下図が主な雑草の繁殖状況だ。既に花期が終わったもの、盛りのもの、これからのものと多種多様。何処かで見たことのあるものが多いが、珍しいものもあった。一体、どのような経緯でこの場所に住みついたのだろうか。 #1:ヨウシュヤマゴボウ 既に花が咲き、緑色の果実をつけた2本のヨウシュヤマゴボウが立っていた。草丈は2mを超え、緩衝地帯を塞ぐように枝を伸ばしていた。茎を引き抜こうとしたが、根元から折れてしまった。株が残ってしまったので、来年も出てきそう。 #2:ヤブソテツ(薮蘇鉄、オシダ科ヤブソテツ属) ヨウシュヤマゴボウの下に生えていた。まだ若い個体なので判然としないが、ヤブソテツの仲間だと思う。日陰で湿った環境が適していたのかもしれない。 #3:クワクサ(桑草、クワ科クワクサ属) これもヨウシュヤマゴボウの下に生えていた。花や果実があると、クワクサの判別は容易だが、若い株の葉からの判断なので心もとない。クワクサは所沢近辺ではよく見かける植物だが、内部の圧力により果実を弾き飛ばす性質があるので、何故ここに根付いたかは不明だ。 #4:オニドコロ(鬼野老、ヤマノイモ科ヤマノイモ属) 蔓性で葉の形から判断。かつて法面の上のフェンスまで伸び、花を咲かせたことがある。地下茎が生きており、また成長を始めたのだろうか。 #5:ナガイモ(長芋、ヤマノイモ科ヤマノイモ属) これも、蔓性であり葉の形から判断。何故、この地に生えたのか、地中の種芋によるものか、それともむかごが運ばれてきたためだろうか。この硬い土地では、芋が大きくなるとは思えず、むかごを残すだけで精一杯だろうか。 #6:アズマネザサ(東根笹、イネ科メダケ属) アズマネザサは荒れ地などでよく見かける笹の一種。放置すると地中に張り巡らせた根茎を介して、生育領域が拡大する。引き抜こうとしてもびくともせず、仕方なくハサミで根元の茎を切るしかないが根は残る。また、来年も間違いなく現れるだろう。 #7:ヤマノイモ(山の芋、ヤマノイモ科ヤマノイモ属) 葉は対生で長いハート形をし、蔓性でもあるので、ヤマノイモだろう。これは、地中にできる芋をすり潰してとろろにして食用にするあのジネンジョ(自然薯)のことだ。しかし、この小石混じりの硬い土地では、とてもそこまでには生育できないだろう。何故、ここに生えたのだろうか、むかごによるものだろうか。 #8:ナンテン(南天、メギ科ナンテン属) これは、赤い実のなるナンテンの若い株で、葉の奇数羽状複葉が特徴。当地では、あちこちに自生している。鳥によって果実が拡散されたのだろう。 #9:マグワ(真桑、クワ科クワ属) かつて当地には養蚕農家があり、畑でマグワを栽培していた。現在では殆どが野菜畑になっているが、野原にはマグワが結構残っている。果実を食べた鳥が、この土地に種子を運んだのだろう。マグワの成長は早く、既に2m程度になっていた。 #10:ヒカゲイノコヅチ(日陰猪子槌、ヒユ科イノコヅチ属) 若い株の葉のつき方や形状から、イノコヅチの仲間のように見える。その中でも日陰を好むヒカゲイノコヅチではないだろうか。花や果実が観測できできれば、確信が持てるのだが。もし、秋まで生きていれば、果実は引っ付き虫となって、動物の体に付着して拡散される筈。 #11:オキザリス・トリアングラリス(三角片喰、カタバミ科カタバミ属) 大きなカタバミの園芸種。品種によって葉や花の色のバリエーションは多数あるが、春の開花時には花は白、葉は緑だったので"緑の舞"と言う品種のようだ。近所の庭から逃げ出したのだろう。既に葉は枯れ始めたので茎を抜いていると、茶色い楕円体の塊のような球根が現れた。とても取り切れる量ではなかったので、ある程度残し、来春の楽しみにした。 #12:アカメガシワ(赤芽柏、トウダイグサ科アカメガシワ属) 葉の形や、新芽や葉柄が赤みがかっているので、アカメガシワだろう。典型的なパイオニア植物で、成長が早く、強力な繁殖力を持つ。果実は大量に稔るが、鳥によって運ばれたのだろうか。 #13:マユミ(真弓、檀、ニシキギ科ニシキギ属) マユミの若葉は、楕円形で先が尖り、葉の縁には細かな鋸歯がある。しかし、似たものが多く、判断が難しい。ところが、約10m離れたところに庭木としてマユミが植栽されているので、これを観察するとマユミだと確信できた。マユミの果実を目当てに鳥たちが集まるので、こぼれた種子がこの地に落ちたのだろう。 #14:ヘクソカズラ(屁糞葛、アカネ科ヘクソカズラ属) 花が咲けば一目で分かるヘクソカズラだが、若葉の時期は、長いハート型の葉が対生し、蔓性の茎が他の植物やフェンスに絡みつく光景で判別がつく。ヘクソカズラの駆除は、地下の根ごと引き抜くことだが、手応えがイマイチで、根が残っているような感覚だ。多分、来年も再会するだろう。  この他にも、盛りを過ぎて枯れ始めた普通のカタバミや、ハハコグサ、チチコグサなどの残滓もあった。何か珍しい植物は生えていないかとの目論見は見事に外れ、狭い領域に繁殖力の旺盛な植物たちが自らの存在を主張しており、すっかり排他的な世界を構成しているようだ。一口に草刈りと言っても、根こそぎ抜けた植物は少ない。蔓性植物を引っ張ると途中で切れて根が残り、笹は引いてもびくともしないので根元に近い茎を切っただけだ。折角、きれいになった緩衝地帯を眺めても、来年の夏には既視感のある景色が広がっていることが容易に想像できる。  2時間に及ぶ草刈りの後、葉や枝をビニール袋にまとめていたら、小さなカマキリの幼虫が袋から飛び出した。雑草まみれのこの緩衝地帯は、昆虫にとっては居心地の良いマイホームだったのかもしれない。世に雑草地帯は尽きること無く存在するので、新居での新たな生活を始めてほしい。

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自然
オヤブジラミ - 赤味を帯びた双子の引っ付き虫

 オヤブジラミは、セリ科ヤブジラミ属の越年草。東アジアの原産で、日本の在来種でもある。本州から琉球までの原野や路傍に繁茂する極めてありふれた雑草の一つ。名前から想像できるように、所謂"引っ付き虫”となって、果実が動物に絡みつき、種子を拡散する。オヤブジラミの花期は春だが、初夏を境にそっくりな植物が咲き始め、まるで同じ植物が咲き続けているような錯覚を与えやすい。その植物は、同属のヤブジラミ(藪虱)だ。果実がオヤブジラミの方が大きいので接頭語の"オ(雄)"がついた。この2つの植物の関係は、キク科の春に咲くハルジオンと夏に咲くヒメジョオンの関係を連想させる。自然界の中に時々ある似て非なるものの存在意義は何なのだろうかと考えてしまう。敢えてオヤブジラミの良い点を挙げると、花や果実は極めて小さいが、赤みがかったグラディエーションが観賞的には美しい。しかし、雑草駆除のためオヤブジラミを引き抜いていると、軍手に果実が貼り付き、それを取り除いても鋭い毛先は軍手に刺さったままで厄介なものだ。在来種であっても、人間社会にとっての有用性や文化的つながりとは、背を向けて生き続けた根性のある雑草だと思う。 【基本情報】 ・名称:オヤブジラミ(雄藪虱) ・別名:(なし) ・学名:Torilis scabra ・分類:セリ科ヤブジラミ属の越年草 ・原産地:日本を含む東アジア(朝鮮、中国、台湾) ・分布:日本では、本州、四国、九州、琉球など ・花言葉:人懐っこい(引っ付き虫のためか) ■生態 湿った野原や荒れ地などに生える越年草で、秋に発芽したあと、ロゼット状態で越冬し、翌春に気温の上昇とともに成長を始める。茎は直立し、上部で枝分かれし、草丈は精々70cm程度。茎や葉は、紫色を帯びることもある。葉の構造は2~3回羽状複葉。小葉の形は細かく裂け、葉は薄く、両面に粗い短毛が生え、裏面は白色を帯びる。 ■花 オヤブジラミは多くのセリ科の植物と同様に、複散形花序を形成する。これは大花序と小花序の2段階の構成になっている。地面から伸びた茎の先、または分岐した枝先から、2~5本の茎に分かれた大花柄をつくる。1つの大花柄の先に0~2枚の細長い小総苞片を介して、2~5本に分岐した小花柄をつくる。  小花序にできたオヤブジラミの蕾の先端が紫色を帯びると、間もなく開花する。オヤブジラミの花は両性花で花の下部には長い子房がある。花は白色の5弁花で、雄蕊は5本、雌蕊は1本で柱頭が2裂している。この時期の花弁の縁や子房を包む外皮の毛は薄紫色になる。 ■果実 花が終わると、花弁や雄蕊が落ち、子房が膨らんで若い果実が出来る。果実の先端には、2裂した雌蕊の柱頭の跡が残る。果実は長楕円形で、表面の刺毛(植物の表皮にあるとげ状の毛)は長めで先端は内側に曲がっている。このため、一旦何かに付着したら、離れ難い。そして、大量に生み出された果実は、引っ付き虫となり、動物に付着して拡散する。果実は、完熟すると赤味は消え、2つに分かれ、それぞれに種子が1個入っている(分果)。種子は、秋には発芽し、ロゼット状になって越冬するので、越年草に分類される。 ■オヤブジラミと日本人 オヤブジラミは日本の在来種であり、人類の歴史の中では雑草として生きてきた。ある特定の地域で、野生植物の生育状況を調べ、在来種、自生種、希少種、外来種などに分類し、今後の保護活動への指針を提案した研究成果がある。 森林総合研究所の研究グループによる"森林総合研究所多摩森林科学園の野生植物"だ(詳細はここをクリック)。東京都八王子市の森林総合研究所多摩森林科学園は、かつては縄文時代の遺跡があったり、戦国時代は北条氏の支配地域であったり、江戸時代は幕府の直轄地となり、明治以降は皇室の御料地となり、1960年代の台風被害を契機にサクラの保護林が造成された歴史を持つ。このような変遷をしながらも、長期間にわたり多くの植物が、この地で生育してきた。現在の植物相の調査結果によると、確認された植物は784分類群、国内産植物は657分類群、自生種は618分類群、希少種は106分類群であり、外来植物は127分類群(自然帰化種87分類群と逸出帰化種40分類群の合計)だった。この中で、セリ科のオヤブジラミやヤブジラミは国内産自生種としてリストアップされ、希少植物の範疇になることもなく、有史以来、営々と生き続けている正統的な雑草なのだ。

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自然
ヤブニンジン - 地味で優雅な日陰の雑草

 ヤブニンジン(藪人参)は、セリ科ヤブニンジン属の多年草。 主に東アジアに分布し、日本の在来種でもある。日本各地の山野や藪、路端などの日陰を好んで生育する。ヤブニンジンの姿と言えば、先ず目につくのは、人参の葉のような葉が一面に敷き詰められ、その上方の細い茎に支えられた小さな白い10個程度の花の集団が空中に点々と浮いている優雅な景色だ。これは、ヤブニンジンの名称の由来にも繋がる。春に咲くセリ科の植物の中に、良く似たヤブジラミ(藪虱)があるが、この果実が卵形であるのに対し、ヤブニンジンは長い棍棒形なので、ナガジラミ(長虱)の別名がある。ヤブニンジンは、かつて食用や薬用に利用されたこともあったが、同じ季節に生育するセリ科の植物には有毒なものもあって紛らわしいためか、現在では積極的に活用されていないようだ。むしろ、最近では山野を荒らす侵略的植物の繁茂を防ぐためのグラウンドカバー植物として存在感があるのではないかと思う。 【基本情報】 ・名称:ヤブニンジン(藪人参) ・別名:ナガジラミ(長虱) ・学名:Osmorhiza aristate ・分類:セリ科 ヤブニンジン属の多年草 ・原産地:日本の在来種、朝鮮、中国、シベリア、インドなどにも自生 ・分布:日本では、北海道から九州まで ・花言葉:喜び ■生態 ヤブニンジンは、種子による実生繁殖が原則。種子は株の周辺に落ちるものも多いので、群生する傾向がある。春になると、地面から茎が直立して少数の葉をつける。葉は2回3出羽状複葉で、卵型の小葉の縁に粗い鋸歯がある。この葉の形や構成は、同じセリ科の人参の葉を連想させる。また、全体的に毛に覆われており、特に茎の毛は長い。茎の先には花序がつくが、2段階の構成になっている。茎の先に数枚の大総苞片があり、ここから数本の大花柄が伸び、その先に数枚の小総苞片を介して数本の小花柄が伸びて小花序をつける。所謂、複散形花序と呼ばれる形式で、セリ科の植物に多い。イメージ的には線香花火の飛び散る火花のようだ。 ■花 茎の最先端にある小花序は小総苞片に包まれていて、開花前は蕾のように見える。これが開き始めると、小総苞片の隙間から複数の花が頭を出す。ヤブニンジンの花は、両性花と雄花の2種類がある。小総苞片が開くと、外側には長い両性花、中心部には短い雄花が数本ずつ現れる。小花序が開くと、基部の小総苞片は反返り、両性花は外側に雄花は内側に輪を描くように並ぶ。他の小花序も同時進行で開花し、視点を引いて大花序を眺めてみると、見事な複散形花序が出来上がっている。  次に、小花序の中の花を観察してみよう。2種類の花は何れも白い5弁花だが、半開きのような状態で咲き、全開はしない。両性花は5本の雄蕊と、長い子房があり2裂した花柱を持つ雌蕊からなる。一方、雄花は花柱が退化して無く、雄蕊が5本あるが、大きさは両性花より小さい。また、この2種類の花は咲く時期が微妙にズレている。両性花が咲き終わった後に、雄花が盛りとなり、雌性先熟の傾向がある。自家受粉を避けるためだろう。 ■果実 花が終わると、雄花は枯れ、両性花の子房が生育して細長い若い緑色の果実になる。果実の先には2つの花柱の痕跡があり、先端の方に向けて棘のような毛がある。この毛は、運良く引っ付き虫のように動物などにつくと、遠方に拡散できる手段になる。やがて、果実が熟すと褐色になり、基部から裂開して2個の分果に分かれる。この分果の中に円柱状の種子が1つ入っている。分果は地面に落ちるか、引っ付き虫となって遠方に運ばれるかして、翌春を待つ。 ■ヤブニンジンと日本人 ヤブニンジンは、日本の在来種であり、人間との付き合いも長いはずだが、存在感は薄い。一部に食用や民間薬として利用された歴史はあったにせよ、現在では有象無象の怪しい植物の中から取捨選択するほどもない雑草として生きている。本来は、立派な葉と慎ましい花が調和した優雅な植物だが、何故冷遇を受けているのか。それは、ヤブニンジとかナガジラミとか、取って付けたような名前のせいもあるだろう。もっと相応しい名前がないものか。しかし、日本各地の日陰の野原を、侵略的外来種から守り続けた功績は大きい。自然にとっても人間社会にとっても、ヤブニンジンは雑草ではあるが、案外良い奴なのかもしれない。

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自然
ヒメジョオン - 質実剛健なイメージの双子草

 ヒメジョオン(姫女菀)は、キク科ムカシヨモギ属の雑草。北米原産で、現在ではアジアや欧州にも分布している。日本には1865年頃に観賞用植物として導入され"柳葉姫菊"と呼ばれたが、明治期には早くも雑草化して鉄道の線路沿いに拡がったので"鉄道草"とも呼ばれた。ヒメジョオンは種子で増えるが、花期が長いため、秋にロゼッタを作り越冬したり(越年草)、次の春に種から発芽したり(1年草)して、強力な繁殖力を持つ。このため、日本の侵略的外来種ワースト100指定種でもある。しかし、かつて観賞用植物だけあって、夏から秋にかけて、長い茎の先に多数の小さな白い花をつける様子は、背の高い菊を思わせる優雅さがある。ところが、春にはそっくりなハルジオン(詳細はここをクリック)が咲き、一見すると春から秋まで同じ花が咲いているような錯覚を受ける。このハルジオンもヒメジョオンも出自も日本での取り扱われ方も同様な双子草だ。観賞的な視点では、ハルジオンは少し小さく、根元上方の葉が多く安定感があり、蕾や花は淡紅色を帯びて華奢な雰囲気があるが、ヒメジョオンは少し背が高く、葉は少なくて細身に見え、茎の先にやや小さな多数の白い花を咲かせるので、質実剛健な印象を与える。ヒメジョオンの実態はどうなのだろう。 【基本情報】 ・名称:ヒメジョオン(姫女菀) ・別名:柳葉姫菊、鉄道草 ・学名:Erigeron annuus ・分類:キク科 ムカシヨモギ属の一年草または越年草 ・原産地:北米原産で、欧州、日本を含むアジア)に移入分布 ・分布:江戸時代末期(1865年頃)に観賞用に渡来し、明治初期には全国的に雑草化 ・花言葉:素朴で清楚 ■生態 ヒメジョオンは、陽当りのよい環境が適しているものの、牧草地や野原、林縁など何処でも生える程の繁殖力がある。市街地の舗装道路の割れ目からも芽生えるスキマ植物でもある。ヒメジョオンの花の時期は、初夏から晩秋にも及び、花は五月雨式に咲き、その度に多くの種子を作り出す。冬を前に長い葉柄のある根生葉が集まりロゼット状になり、冬を越すものもある。また、種子のまま冬を越し、翌春に発芽するものもある。春になると、茎は真っ直ぐに伸び、茎先に散房花序をつくる。花期になると、ロゼット状の根生葉は消失し、毛の生えた茎が地面から直立する。葉は茎の側面に接するようにつき、茎に互生する。葉の形は長楕円形で、下方の葉には粗い鋸歯がある。 ■花 花の構造は、一般的なキク科の植物と同様に、舌状花と筒状花の集合体が頭花を構成している。茎が上に伸び、その先端が分岐すると、複数の蕾が散房状につくが、その向きは、上、横、下など様々で一律ではない。蕾が開く直前には、外側にある舌状花の花冠が白色であり、蕾が開いても白色のままだ。頭花は、周辺部の舌状花と中心部の筒状花で構成される。舌状花は白く長い花被はあるが雄蕊も冠毛もない雌性花であり、筒状花は全て揃った両性花だ。萼に相当する総苞が、多数の舌状花や筒状花を束ねている。  初夏から晩秋まで絶えず咲き続けるヒメジョオン花には多くの昆虫が集まる。花の蜜を求めた蝶や蜂などが、花粉を食べにカメムシやハナムグリ、バッタの幼虫が、花に隠れて狩をするクモなどが訪れ、大変賑やかだ。 ■果実 花期が終わると、舌状花も筒状花も、それぞれの花の中で果実の成長が本格化する。果実は倒披針形の痩果であり、これが種子にあたる。筒状花がつくる種子は綿毛によって拡散される。舌状花の種子は近くの地面に落ちる。1個体あたり47,000以上の種子をつくり、更にその種子の寿命が35年程度と言われており、驚異的な繁殖能力がある。種子が飛んでいった後は、茎の先には露出した花托(花床)が残る。 ■近縁種ハルジオンについて ハルジオンとヒメジョオンは、ともにキク科ムカシヨモギ属の植物だが、別の種類なので良く見ると物理的な相違は明確に存在する。それは、比較リストにまとめたが、日本文化の中での存在意味という点では、かなり雰囲気が異なるような気もする。イメージ的には、ハルジオンは春の花で、うつむき加減の蕾には詩情を感じるが、ヒメジョオンは夏から秋のたくましい雑草。名称は、ハルジオンは、秋に薄紫色の美しい花を咲かせる紫苑になぞらえ春に咲くので春紫菀、ヒメジョオンは、ハルジオンとの対比でヒメジオンと呼びたいところだが別種のヒメジオンがあってため、仕方なくヒメジョオンになった。有用性としては、ハルジオンは食用や薬草になったが、ヒメジョオンはあまり利用されていないらしい。ヒメジョオンには気の毒だが、そんなことは気にせず、雑草魂で生きてほしい。殆どの日本人は、ハルジオンとヒメジョオンの区別はつかないのだから。 ■ヒメジョオンと日本人 殆ど人の役に立たないと思われているヒメジョオンだが、何か目新しい話題がないか調べてみた。すると、信州大学の研究グループによる"霧ケ峰八島高原における主要帰化植物の生態と駆除に関する実験"のレポートを見つけた(詳細はここをクリック)。 霧ケ峰八島高原にビーナスラインなどの自動車道が開通すると、十数種の帰化植物が繁茂するようになり、在来植物の生存が脅かされている。帰化植物の中でもヒメジョオン類(ヒメジョオンとヘラバヒメジョオン)が目立つ。これらを駆除する方法として、引き抜き駆除は効果が薄く、踏みつけ駆除は他の植物への損傷が問題。このため、根元剪定による駆除が実施され、効果が期待される(だが、多大な労力が必要と思う)。また、厄介なことに、ヒメジョオン類の根からの抽出物は他の植物の発芽を抑制する効果(アレロパシー)があるので、在来植物の生存環境に影響を与えそう。今のところ、良い知見は得られていないが、侵略的帰化植物への対応の難しさを明らかにした。ヒメジョオン類とは、長い付き合いになりそうだ。

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自然
ハルジオン - 華奢なイメージの双子草

 ハルジオン(春紫菀)は、キク科ムカシヨモギ属の多年草。北アメリカの原産で、大正時代に園芸植物"ピンク・フリーベイン"の名で渡来したが、繁殖力が強いので庭園から逃げ出し、今では全国各地の陽当りの良い市街地や農地、荒れ地などで野生化している。農作物や牧草の生育を妨害するので、厄介な雑草と認知されてしまい、日本の侵略的外来種ワースト100にも選定されている。しかし、ハルジオンの葉、茎、若芽、蕾などは柔らかく、大半が可食部位となり、春菊のようなほろ苦さと風味があると言われている。ハルジオンは名の通り春の雑草だが、年中同じような花が咲いているような気がする。実は、夏から秋に咲くそっくりな花は、素性も姿も瓜二つのヒメジョオンであり、一卵性双生児のような関係だ。このことが双子の植物の物語に、混乱と奥行きをもたらしているようだ。新参者で見目麗しい雑草は、日本中どこでも鑑賞できるためか、J-POPの世界では、しばしばフィーチャーされる。ユーミンの"ハルジョオン・ヒメジョオン"では変わらない風景の象徴として、さだまさしの"春女苑"では強い雑草に励まされるメッセージとして登場する。ハルジオンの存在感は、すっかり定着したようだ。 【基本情報】 ・名称:ハルジオン(春紫菀) ・別名:ハルジョオン、ビンボウグサ ・学名:Erigeron philadelphicus ・分類:キク科 ムカシヨモギ属の多年草 ・原産地:北アメリカ ・分布:東アジアに外来種として移入され、日本では全国各地で野生化 ・花言葉:追想の愛、清純 ■生態 ハルジオン多年生の草本で、繁殖は風によって運ばれた種子が発芽する場合と、地下茎による栄養繁殖の場合もあり、繁殖力は強力だ。夏の花期が終わると、秋にはロゼット状の葉を地上に残して、冬を迎えるものがある一方、春に新たに根生葉を地上に出し、成長を始めるものもある。根生葉を残したまま茎は上方に直立し、茎の先の方で幾つかに枝分かれする。葉は、形はヘラ形で葉柄は無く、茎を取り囲むようにつく。茎や葉には薄い毛が目立つ。 ■花 茎が上に伸び、その先端が分岐すると、複数の蕾が茎を軸にして下向きに総状的につくのが特徴だ。蕾は上の方から順に開くと頭花は上を向くようになる。ハルジオンの頭花は、周辺部の多数の舌状花と中心部の複数の筒状花で構成される集合花だ。蕾が開く直前には、外側にある舌状花の花冠が淡紅色になる。しかし、蕾が開くと、この舌状花の花冠は白味を帯びるのが普通だが、株によっては淡紅色が混じる場合もある。  春にふんだんに咲くハルジオンの花には多くの昆虫が集まる。花の蜜を求めた蝶や蜂などが、花粉を食べにハナムグリやバッタの幼虫が、花に隠れて狩をするクモなどが訪れ、大変賑やかだ。 ■果実 花期が終わり、舌状花も筒状花も花冠が枯れると、それぞれの花の中で果実の成長が本格化する。果実は白い冠毛のついた倒披針形の痩果であり、これが種子にあたる。痩果のついた綿毛が飛んでいった後は、茎の先には露出した花托(花床)が残る。 ■近縁種ヒメジョオンについて ハルジオンとヒメジョオンは、ともにキク科ムカシヨモギ属の植物だが、別の種類なので良く見ると物理的な相違は明確に存在する。しかし、やはり姿はそっくりで、ハルジオンはやや小さくて華奢、ヒメジョオンはやや大きく普通で飾らない雰囲気があるが、文学的に表記する際に韻を踏んだりすると、ハルジオンがハルジョオンに、ヒメジョオンがヒメジオンになったりもする。その程度の表現のぶれは承知のうえで2つの植物は存在しているが、ここでは、両者の名誉のために形状的な相違を示しておく。 ■ハルジオンと日本人 雑草としてのハルジオンの別名は貧乏草で、折ったり、摘んだりすると貧乏になってしまうと言うネガティブな伝承がある。しかし、最近の研究では、ハルジオンに抗菌作用があり、微生物の生育を阻害効果があって、今後の人間社会への活用可能性を示唆するポジティブな成果が公表されている。東京都立多摩科学技術高等学校の研究グループが日本農芸化学会に発表した"ハルジオンの抗菌作用病原体に対する防御と活用技術への可能性"である(詳細はここをクリック)。雑草の生命力を調べるためタンポポとハルジオン,万年草の根を無菌培養したところ、ハルジオンだけがカビが生えてない現象が確認できた。このため、ハルジオンには抗菌作用があると考え、大腸菌や黒麹菌、納豆菌を用いて抗菌効果を調べたところ各微生物の生育を阻害していることが実験的にわかった。そのメカニズムを探求したところ、ハルジオンには脂質二重層を壊す働きがあり、それにはクロロゲン酸が関わっているのではないかと推定している。 これは実践的な手法で得られた確かな成果と思われるので、今後の研究開発のみならず、製薬や食品業界などへの展開が期待できると思う。

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