自然
サルトリイバラ - 遭遇すると幸運な気分
サルトリイバラ(猿捕茨)は、サルトリイバラ科シオデ属の落葉植物。蔓性だが、草本ではなく半低木。日本の在来種であり、全国各地の山野に自生するので、割と知られた存在だ。サルトリイバラの名の由来は、蔓性の茎に棘があり、これが繁茂すると猿でさえもも脱出できず捕らえられてしまうと言う説がある。また、別名のサンキライ(山帰来)は、梅毒を患って山に捨てられた男が、この植物の根を薬にして治癒し、村に帰ってきたという故事に由来する。植物としての姿も風変わりだ。長く伸びた枝には棘があり、葉の付け根には2本の長い巻きひげがつき、隙あらば他の樹木巻き付き、大きな葉で覆い尽くす。花は黄緑色で目立たないが、その代わり秋に放射状につく赤い実には際立った存在感がある。人間との関係も深い。サルトリイバラの葉は、丸くて大きく、物が付着しにくい性質があるため、柏の葉の少ない西日本では、餅などを包んで炊くのに利用した。また、根茎は乾燥させると生薬"和山帰来"となり、解毒作用や利尿作用があり漢方薬になっている。また、秋に赤く熟す果実は水分が少ないため花材として生花やクリスマスリースにも適している。しかし、野生種であっても繁殖能力は程々なので、もし散策中にサルトリイバラに遭遇したら、幸運な気分になる。 【基本情報】 ・名称:サルトリイバラ(猿捕茨) ・別名:サンキライ(山帰来) ・学名:Smilax china ・分類:サルトリイバラ科 シオデ属の落葉蔓性の多年生植物 ・原産地:東アジア(中国、朝鮮半島、日本など) ・分布:日本では北海道、本州、四国、九州、沖縄の山野に自生 ・花言葉:不屈の精神、屈強、元気 ■生態 サルトリイバラは雌雄異株。地下の根茎は横に伸び、地上には太い茎が出て、緑色の細い茎に別れ、枝が蔓状に伸びて棘と巻きひげで他の植物に絡みつき、薮のように広がる。枝には疎らに棘があるが、バラと比べると思いの外小さい。むしろ、サルトリイバラを特徴づけるものは、葉の脇にある1対の長い巻きひげだ。これは托葉が変化したもので、絡みつく場所を探して様々な方向に伸びる様子は、生きて触手を動かしているように見える。葉は枝に対し互生し、葉柄を介して、巻きひげと葉に至る。葉の形状は広卵形で先端部が少し凹み、数本の葉脈が走るが基部と先端で合流する。葉の表面は光沢があり、滑らかで和菓子を包むのに適しているようだ。 ■花 春になると新葉に囲まれて、蕾が出てくる。蕾が成長すると、放射線状に広がった散形花序の先に花がつき、ボリューム感があるが、花の色が黄緑色なのであまり目立たない。サルトリイバラは雌雄異株なので、雄株には雄花、雌株には雌花がつく。雄花の構造は、6枚の花被片があるが、内側の3枚は小さく、外側の3枚は大きく、それぞれが反り返っている。中央部には、雄蕊が6本ある。雌花の花被片も大小各3枚でやはり反り返り、中央部の雌蕊の柱頭は3裂する。 ■果実 花が終わると、雌株の散形花序には緑色の未熟な果実ができる。果実は成熟するにつれ、果皮の色は緑、黄色、橙、赤へと変化する。赤く熟した果実は液果で、数個の種子を含む。果実には有毒成分は含まれないので、生食、果実酒に利用できる。冬になると、果皮が枯れて破れ、種子を放出する。春が近づくと、枯れた果実が落ち、枝の葉柄基部の節に芽鱗に覆われた冬芽が互生し、次の世代を迎える。自然環境の中でサルトビイバラが繁殖する方法は、種子による有性繁殖(実生)と、地下茎による栄養繁殖によるクーロン個体の形成の2通りがある。 ■サルトリイバラと日本人 日本人にとって、サルトリイバラは食材や、薬用、花材などの分野で有用な植物ではあるが、山野に自生するため、手に入れるには山採りが基本となるため、市場的には高値で取引されている。このため、人工的な組織培養によって効率的に苗を育て、産業化を目指す技術開発が進んでいる。鳥取県園芸試験場の研究グループは、研究報告"組織培養を用いたサルトリイバラの増殖方法"を公開した(詳細はここをクリック)。概略の手順としては、(1)植物の細胞分裂が活発で成長を促す成長点について、枝から採取する時期や培養液の組成を決める。(2)野生系統ごとに最適な植物ホルモン濃度を調べ、増殖培養する。(3)植物の新しいシュートを使うよりは、複数の芽が中心部の組織を囲むように密集した多芽体を用いると発根率が向上する。…など多数のノウハウを得て、約2年で苗の増殖が可能となったとのこと。このようなバイオテクノロジーを活用した野生植物の産業化は、将来の農業のあり方に示唆を与えるものになるのではないかと思う。
ベニバナボロギク - 不憫な美しい野の花
ベニバナボロギク(紅花襤褸菊)は、キク科ベニバナボロギク属の一年草で、アフリカが原産地。日本には、第2次世界大戦後の1950年頃に福岡で見つかり、現在では北は東北地方、南は沖縄まで自生している帰化植物。戦前の台湾では、既に帰化が確認され、現地の日本兵が"昭和草"とか"南洋春菊"と呼んで、春菊に似た野菜として食用にした。名の由来は、やはり帰化植物のダンドボロギク、ノボロギクに似た姿をしている赤い花なので紅花襤褸菊となったと言う説と、種子の綿毛の様子がボロ布のように見えるという説があるが、何れにせよ悲惨な名前をつけられた。新参者の雑草のためだろうか。生態的な特徴としては、森林伐採地や山火事の跡、林縁、道端などに一斉に出現するパイオニア植物であり、元の植生が戻ると姿を消す。環境省の侵略的外来種リストには掲載されているが、"その他の検討対象種"の範疇に留まっている。ベニバナボロギクは菊の仲間だが、筒状花を束ねた頭花の先端だけが赤味を帯びるので、良く目立つ。また、花の時期は夏から初冬までと長く、花茎には常に蕾や花、果実が存在し、賑やかだ。野の花としては見応えがあるが、新参者の帰化植物を愛でる文化は、日本にはない。海外では、人間の食用や家畜の飼料として重宝されているのだが…。 【基本情報】 ・名称:ベニバナボロギク(紅花襤褸菊) ・別名:ショウワグサ(昭和草)、ナンヨウシュンギク(南洋春菊) ・学名:Crassocephalum crepidioides ・分類:キク科 ベニバナボロギク属の一年草 ・原産地:アフリカ ・分布:日本では、1950年頃に九州から東北、沖縄に拡散 ・花言葉:大切なのは外見より中身 ■生態 ベニバナボロギクの株は直立して伸び、あまり分岐せず、草丈は数十cm程度。葉は茎に対し互生するが、葉の形は茎の上下で異なる。茎の上部ではほぼ卵形だが、中程なると不規則に浅い羽状の切り込みが入り、下部になると深く羽状に裂ける。葉の縁には、まばらな鋸歯がある。葉の基部は茎を抱かない。そして、茎や葉には、全体的に短い毛が生える。 ■花 茎の先端で分岐した先に花序をつくり、数個の蕾をつける。蕾は円筒形で線状の総苞片に包まれ、花柄から萼片のようなものを介して繋がっている。花期は長く、夏から初冬に及ぶ。ベニバナボロギクの頭花には舌状花はなく、全てが細長い両性の筒状花からなる。頭花は始めに、うつむきながら朱赤色に咲き始める。筒状花は雄性先熟で、始めに雄性期となり、雄蕊から花粉を放出する。その後、雌性期になると雌蕊の花柱が2烈して巻き、他の花からの受粉が可能となり、自家受粉を回避する。花期が終わりに近づくと、雌蕊が伸びて頭花は上向きになる。 ■果実 花が終わると放射線状に綿毛が広がり、先端部に雌蕊の痕跡が残る。やがて、綿毛はランダムにバラけ、ボロ布の様に見えるので、 ホロギクの名の由来になったと言われる。果実は、冠毛のついた痩果で風によって拡散する。 ■ボロギク仲間 ベニバナボロギク、ノボロギク、ダンドロボロギクは、"ボロギク"の名を含み、頭花が筒状花のみで構成され、植物分類上は大括リでキク科サワギク連に属し、日本に帰化した雑草であることが共通点。海外の異なる地域から、明治以降に渡来した似た者同士の外来種が、日本でともに自生しているのは、何故だろうか。 ノボロギク(野襤褸菊、学名: Senecio vulgaris)は、キク科キオン属の一年草、または越年草で、ヨーロッパ原産。花期は通年で、花の色は黄色、葉は肉厚で切れ込みがある(詳細はここをクリック)。 ダンドボロギク(段戸襤褸菊、学名: Erechtites hieracifolia)は、キク科タケダグサ属の一年草で、北米原産。花期は、ベニバナボロギクと重なるが、花は薄黄色で、葉は羽状のものもあるが、茎を抱くようにつく。 ■ベニバナボロギクと日本人 残念ながら、ベニバナボロギクと日本人の間には良好な関係は築けていないが、世界的にはベニバナボロギクは、熱帯や亜熱帯地域では、野菜や飼料として利用されている。これに着目して、琉球大学の研究グループが、"チッソ、リンおよびカリウム肥料がベニバナボロギクの生長形質に及ぼす影響"を公開した(詳細はここをクリック)。これは、ベニバナボロギクの生長に対する化学肥料の影響を調査したものだ。肥料を施した試験区を8区画設定した。①チッソ(N)、②リン(P)、③カリウム(K)、④チッソ+リン(NP)、⑤チッソ+カリウム(NK)、⑥リン+カリウム(PK)、⑦チッソ+リン+カリウム(NPK)、及び⑧無施肥。植物の栄養状態を把握するために、葉に特定の光を当て、光の吸収度合いを数値化したSPAD値を指標とした。葉のSPAD値は、N、NP、NK、NPK区においてP、K、PK区より高い値を示し、Nを施肥しない区では、最も早く落葉した。草丈、葉数および分枝数については、NPK区で栽培した植物体に次いでNKとN区の植物体で高い値を示した。また、Nを施肥しない区の植物体は、より早く開花することがわかった。全新鮮重と全乾物重では、NPK区に次いでNK区、N区の順に高い値を示し、P及びK肥料の単独施肥またはP及びKの混合施肥によって、全新鮮重、全乾物重及び生長形質への影響は認められなかった。 この研究は、試験区、すなわち畑地における実証実験であり、目的にあった野菜としてベニバナボロギクを育成する方法が提案された。山野や休耕地に咲くベニバナボロギクについても、計画的に施肥すれば、野菜として育成できる可能性がありそうだ。そのためには、日本人はベニバナボロギクを雑草としてではなく、美味しい野菜と認識する必要がある。出来るだろうか。
チュウゴクアミガサハゴロモ - 忽然と現れた外来昆虫
チュウゴクアミガサハゴロモ(中国編笠羽衣)は、中国原産の外来昆虫。名の由来は文字通り、中国原産で、成虫の羽の形状が"編笠"のように見えるハゴロモ科の昆虫の仲間だから。ちなみに、ハゴロモ類の幼虫は、羽衣のように白い綿状の物質を分泌して体を覆っているのが特徴だ。チュウゴクアミガサハゴロモの成虫は、一見すると蛾のような姿をしているが、実はカメムシ目に属し、セミと同様に樹液を吸い取ったり、枝に産卵したりして樹木に危害を加える害虫である。この害虫が外来種として、現在進行形で中国から世界各地に急速に進出して、注目を浴びている。2010年には韓国、2018年にはトルコと南フランス、2021年にはドイツ、2022年にはイタリアやロシアで、そして日本には2018年頃に渡来した。このため、国内の地方自治体や農業団体が、チュウゴクアミガサハゴロモに対する注意喚起活動を続けている。例えば、狭山茶の本場である埼玉県の茶業研究所では、"新害虫チュウゴクアミガサハゴロモの発生に注意"と言うチラシをつくり、茶畑における注意事項を列挙し啓蒙活動を進めている(詳細はここをクリック)。 【基本情報】 ・名称:チュウゴクアミガサハゴロモ(中国編笠羽衣) ・別名:- ・学名:Ricania shantungensis ・分類:カメムシ目 頸吻亜目 ハゴロモ科 ・原産地:中国 ・分布:欧州、韓国、日本などに広がりつつある ■生態 チュウゴクアミガサハゴロモは、幼虫から羽化して成虫の姿になるが、その変化が劇的であるため、同じ昆虫とは思えなかった。卵は若い木の枝に、年2回産み付けられるので、強力な繁殖力がある。孵化すると、幼虫が枝に沿って並び、所々綿の塊が点在しているように見える。よく見ると、これが動くこともあり、顔も足もあって、漸く生物だと気がつく。腹部から白い繊維状のものを広げており、これが羽衣を彷彿とさせ、奇妙な姿をしている。 成虫となったチュウゴクアミガサハゴロモは、あまり活発には動き回らず、植物の茎や葉の上で群れていることが多い。人が近づいても至近距離になるまで飛び立たない。成虫の形状は編笠のようであり、翅の模様も藁で編んだように繊細だ。前翅の縁の中央部に一対の白点がある。正面から見ると、同じカメムシ目のセミに近いように思う。複眼と前足が目立ち、樹液を吸う口吻は後方に伸びる。しかし、後方から見ると、全身が大きな翅に覆われているので、蛾のようだ。成虫も幼虫に劣らず、ユニークな造形だ。 ■何故、急激に拡散したのか? 日本でチュウゴクアミガサハゴロモが見つかったのは、2018年に大阪が初めてだが、10年も経たないうちに国内に拡散してしまった。海外でも十数年前から始まった現象なので、中国からの輸出増加の時期に、貨物や植木などに紛れて意図せず人為的に持ち込まれたのかもしれない。現地の中国には天敵である寄生バチが存在するが、日本では肉食性のカマキリやテントウムシ、鳥などが、昆虫一般として捕食しているだけなので、バランスが取れず個体数が増えているようだ。 日本にも類似種のアミガサハゴロモ(編笠羽衣)がいるが、主にカシ類に棲みついている。一方、チュウゴクアミガサハゴロモは、ツバキ科、ブナ科、マメ科、ムクロジ科、モクセイ科、カバノキ科、クワ科など多様な植物を好み、これらが揃った日本の棲息環境は素晴らしかったので、これも拡散に寄与した要因だ。 もう一つの要因は、気候の温暖化が考えられる。東南アジアでも生息するチュウゴクアミガサハゴロモは南方系の外来種であり、気候温暖化にともない、生息地が北上する可能性がある。日本国内でこれまでに注意喚起を行ったのは、神奈川県、埼玉県、福岡県、山梨県、東京都、群馬県、熊本県、富山県、千葉県、奈良県、大阪府、栃木県で、未だ東北地方には至っていないが、今後の動向には注意が必要だ。 チュウゴクアミガサハゴロモの拡散を防ぐ手段は無いものだろうか。日本には、未だ本種に効果的な登録農薬はない。原産地に生息する天敵の寄生バチを導入する方法も考えれれるが、日本の在来生物への影響は未知数だ。茶畑や栗林などの農作物に限定して、防虫ネットや被災した枝を切除しても、農地以外でも増え続けるので対症療法に過ぎない。今後、研究開発が進めば、日本の自然環境な中で効果的な対策が出来る様になるかもしれない。そして、チュウゴクアミガサハゴロモが、夏から秋にかけての日本の風物詩とならないよう期待している。
キツリフネ - 穏やかだが、隅に置けない
キツリフネ(黄釣船)は、ツリフネソウ科ツリフネソウ属の1年草。世界的には北半球に広く分布し、日本の在来種でもある。全国各地の高原や川沿いなどの日陰の湿地に自生する。同じ環境下で、姿形のよく似たツリフネソウ属の2種類の花、この黄色いキツリフネと、赤紫色のツリフネソウが咲き誇る。花の色が異なるので識別は容易だが、植物体としての構造や、繁殖方法、花期などが微妙に異なり、植物の多様性を感じさせる。情緒的に表現すると、ツリフネソウは、葉の絨毯の上に多数の赤紫色の花が点在して華やかだが、キツリフネは、黄色い花の数はまばらで、しかも葉の下に隠れるように花がつくので目立たない。陽と陰の関係のようだ。地味なキツリフネだが、タフなところもある。開口部が開いた黄色い花は少ないが、花を開かずに自家受粉して果実をつくる閉鎖花が多いようだ。1年草と言う宿命を負って生存していくには必須の手段なのだろう。また、文化的な側面からは、キツリフネもツリフネソウと同様に、古典から現代までテーマとして取り上げられることはなかった。生育環境が人の居住地から離れていたり、植物内に有毒成分を含むため、敬遠されたのだろう。しかしながら、自然の中で自生する黄色と赤紫色の2種類の釣船草は、野性的で美しい独自の世界を演出する相棒のようだ。 【基本情報】 ・名称:キツリフネ(黄釣船) ・別名:ホラガイソウ(法螺貝草)、英名:Touch-me-not ・学名: Impatiens noli-tangere ・分類:ツリフネソウ科 ツリフネソウ属の1年草 ・原産地:日本をはじめ、北半球に広く分布 ・分布:日本では北海道から九州まで、低地から山地の湿った半日陰地に生育 ・花言葉:私に触らないで、デリケート ■生態 キツリフネの株は、湿地に群生する。茎には節があり、葉は互生し、葉の脇から花序が垂れ下がり、花は花柄を介して花序につながる。葉の形は卵形に近くて先端は尖らず、葉縁には緩い鋸歯がある。ちなみに、ツリフネソウの鋸歯はより鋭い。 ■花 名の由来になった釣舟のような形をした花の構造を調べてみる。花弁に相当するものは、正面下方の大きな側方の花弁2枚と、上方の小花弁の1枚。花全体を支える袋状のものが下方の萼片でその先端部が蜜を貯める距がある。距の形は、先端が渦巻状でなく、緩やかに下に垂れ下がる。また、花序とは花柄を介して花はつながるが、その接点にあるのが上方の萼片だ。次に花序に注目すると、これには構成要素が繋がっている。蕾や花を始め、長円筒形の果実、そして閉鎖花を思われるものだ。 閉鎖花と思われるものは、最初は未発達の蕾のような形をしている。これが蕾になる場合は、距の部分が表面に現れて大きくなり、やがて開花(開放花)する。一方、蕾にならない場合は閉鎖花となり、この中で自家受粉し、花を咲かさずに直接果実をつくる。その時の閉鎖花は果実のような形になっているのだろう。そもそも、どのようなメカニズムで閉鎖花になるのか、または開放花となるかは良く分からない。キツリフネは1年草なので、種子を残せなければ次世代はない。それを回避するための手段として閉鎖花をつくるのであれば、自らの生育環境に合わせて、自律的にコントーロールしているのだろうか? 謎は深まる。ツリフネソウと比較すると、キツリフネの閉鎖花の割合は高いと言われている。 蕾が開放花になるまでのプロセスは、幾つかの構成要素が出現し変形しながら、最終的には釣舟形になる。蕾の初期段階では、小さな距がついたほぼ球形をしており、上下の萼によって隙間無く囲まれている。やがて、上下の萼の間が割れ、折りたたまれた花弁が顔を出す。花弁が充分に広がると、ようやく開花となる。開放花を後方から見ると、花弁の大きさが分かる。釣舟のイメージの他に、鳥が大空を羽ばたいていたり、魚が水中を泳いでいるような印象も受け、ユニークな造形だ。 キツリフネの開放花は、両性花だが、生育するに従い、雄性から雌性に変化する。先ず、開花すると、短い花糸を持つ5本の雄蕊が現れ、その葯が中心部で合着して広がり花粉を放出して、雄性期が始まる。そのうち、雌蕊が生育し、雄蕊の中から雌蕊の柱頭が頭を出す。やがて雄蕊が抜け落ちて、最終的には雌蕊だけがが残り、雌性期になる。これで理屈上は自家受粉を回避できるが、閉鎖花が多いキツリフネでは、これほどのエネルギーを使ってもこの方法は何かメリットがあるのだろうか。閉鎖花からできる種子より、遺伝的に優れた種子が出来るのだろうか。 キツリフネは虫媒花であり、昆虫が集まる。距の中に蜜が入っているので、大型のハナバチでも口吻の長い種類が有利だが、一方で、ホソヒラタアブのように小さな昆虫もやってくる。この場合は、花の奥まで入り込み、距の近くで蜜を集めているようだ。また、大きなハチで口吻の短いものは、外側から距を直接破壊し、盗蜜するものもある。これでは win-win の関係にならず、迷惑な侵略的行為だ。 ■果実 キツリフネの果実は、紡錘状円筒形で蒴果だ。熟して何かに触れると果皮がクルクルと巻いて弾け、種子を周辺に勢いよく飛ばす。学名の一部 noli-tangere は、"私に触るな"の意味で、上手く性質を表現している。 ■近縁種 ツリフネソウ 日本各地で自生するツリフネソウ属の中では、見かける頻度や象徴的な性格の対比の観点から、キツリフネとツリフネソウは双璧だ。詳細は別記事を参照していただくとして(ここをクリック)、両者の比較を表にまとめた。 ■キツリフネと日本人 キツリフネは、日本の文化への貢献はそれ程でもないが、在来種として日本各地で長期間にわたり自生している。在来種であれば、日本のどの地域でも、古代から現代まで同じ遺伝子を持つキツリフネが生き延びているのだろうと普通は思う。ところが、その継続性について、興味ある研究成果を見つけた。信州大学の研究グループが "標高上下間での植物の遺伝的分化と、送粉昆虫が分化の維持に果たす役割" を公開し(詳細はここをクリック)、その中でキツリフネに関する生息環境による遺伝子解析結果を報告している。キツリフネは生息地の標高や地域によって、"早咲き型"と"遅咲き型"がある。長野県などの山域でキツリフネの葉サンプルの採取を行い、MIG-seq(Multiplexed ISSR Genotyping by Sequencing)法によって集団遺伝解析を行なった。その結果、開花時期の集団間変異は山域ごとに独立に生じ、同じ山域の集団間では遺伝子流動が維持されていることが分かった。但し、一部の調査地域(松本市、安曇野市)では、距離的に近い2集団の間で遺伝的分化が大きいという現象を見出したが、これらは潜在的に交配可能であることを明らかにした。 同じキツリフネでも、生育環境によって遺伝子が変化していくと言うことだろうか。どの程度の変化なら、同じ子孫を残せるのか、また異なる品種になるのか、もしかすると新種になるのか、境界線はわからないが、種の維持は結構大変なものかもしれない。縄文人が見ていたキツリフネと、現代日本人が見ているキツリフネは、果たして同じ性質のものだろか。
ツリフネソウ - 個性的な形態と生き様
ツリフネソウ(釣船草)は、ツリフネソウ科ツリフネソウ属の1年草。東アジアに広く分布し、日本の在来種でもある。全国各地に分布するが、水辺の湿った薄暗い場所に自生するので、見かける機会は少ないかもしれない。ツリフネソウは、立体的な花の形状が帆掛け舟を吊り下げたように見えることから、命名された。夏から秋にかけて、群生する緑の茎や葉の上に、赤紫色の花が点在する様子は鮮明で良く目立つ。花に注目すると、この細長い花被の先に蜜を蓄える特殊な花の構造は、花粉媒介者を制限することにもなる。このためか、花を開かずとも蕾の状態で自家受粉できる閉鎖花もつくり、1年草であっても生き残る術を心得ている。花が終わると果実ができるが、熟すとわずかな刺激で、果皮がはじけてクルクルと巻き、種子をはじきとばす。園芸種で同属のホウセンカ(鳳仙花)と同じ振る舞いだ。しかし、日本の文化の中では、ツリフネソウは在来種と雖も古典文学にも登場せず、生育環境を選ぶため庭の花にもなれず、その存在感は薄い。それでも、野に自生する植物としては、個性的な存在だと思う。 【基本情報】 ・名称:ツリフネソウ(釣船草、吊舟草) ・別名:ムラサキツリフネ(紫釣船) ・学名:Impatiens textorii Miq. ・分類:ツリフネソウ科 ツリフネソウ属の1年草 ・原産地:東アジア(日本、朝鮮半島、中国、ロシア東南部) ・分布:日本では、北海道から九州まで全国各地 ・花言葉:安楽、心を休める、期待、詩的な愛、私に触れないで ■生態 ツリフネソウは、湿地に群生する。株を上から見ると、輪生しているように見える葉の脇から花序柄が伸びて蕾がつくが、それらは葉より上に飛び出す。花序柄の先には、やがて数個の蕾や花などが集まり総状花序を構成する。茎は節をつくりながら直線的に伸びるが、柔らかいので倒れ易い。また、茎は赤味を帯びることがある。花序柄の下方には赤紫色の毛が生えるのも特徴だ。葉は基本的に互生するが、茎の上方では輪生のように重なり合う様につく。葉の形は先が尖った楕円形で、葉縁には鋸歯がある。 ■花 ツリフネソウの花は独特な形状をしているので、先ずその構造について説明する。開花した花を正面から見ると、中心に雄蕊や雌蕊があり、その前方下部に良く目立つ大きな花弁が左右にあり、上部には小花弁がある。萼片も2種類あり、小花弁の上に上方の萼片、そして花弁を束ねるように下方の萼片がある。花を側面から見ると、下方の萼片の先に渦巻状の距があり、この中に蜜が蓄えられている。そして、上方の萼片から花柄が伸び、花序柄に繋がっている。 次に花序柄の様子を見てみよう。この構成要素は、前面が大きく開いた赤紫色の花(開放花)、細長い緑色の果実、ほぼ球形で赤味がかった距らしきものがある蕾、そして蕾と同じ形で距が無く緑色の閉鎖花らしきものだ。これらを順番に調べていく。 ユニークな形をしたツリフネソウの花だが、蕾から開花するまでの様子を時系列に観察してみよう。花序柄の中で距が生えた紫がかった球形のものが蕾だ。若い蕾は上下両方の萼片で囲まれているが、やがて上下の萼片の間が割れ、花弁の一端が現れる。この皺くちゃな花弁が伸び、赤紫に色づき始めると間もなく開花だ。開花した花を正面から見ると、大きな赤紫色の花弁が目立つ。花粉媒介者である大型のハナバチなどを引き寄せる目印でもあり、距の奥にある蜜を吸うための足場になるのだろう。 ツリフネソウの花は両性花だが、先に雄蕊が花粉を出し、その後雌蕊の柱頭が伸び、雄蕊が落ちた後に雌蕊が他の花の花粉を受け入れ、自家受粉を防ぐようなプロセスを踏む。先ず、開花すると葯が中心部で合着した短い花糸を持つ5本の雄蕊が現れ、先ず雄性期が始まる。やがて、雄蕊より長く雌蕊の柱頭が飛び出す。この柱頭の生育と同期して雄蕊が落ち、花は雌性期に入る。その後、子房が伸びて、果実をつくる準備が始まる。 ツリフネソウの特殊な花に集まる昆虫には、大きさや形態にある程度の条件がある。花粉媒介者として、多数の花を巡りながら体に花粉をつけながら花の奥の距まで口吻が届くような大きなマルハナバチなどは、花にもハチにも win-win の関係にある。しかし、小さな昆虫ではそうはいかない。一方で、スズメガの仲間のホシホウジャクは、ホバリングしながら長い口吻で蜜を吸いに来るだけなので、ツリフネソウにとっては厄介者なのかもしれない。 花序柄には、蕾に似ているが、距は無く緑色をした球形の閉鎖花らしきものがある。この球形のものは、生育環境によって蕾か閉鎖花に切り分けられるのだろうか、それともある程度植物の体内で予めプログラミングされているのだろうか。閉鎖花の役割は、その内部で自家受粉してでも、果実をつくり種子を残すことであり、1年草の執念のようなものだ。閉鎖花は外側からしか観察できないので、内部の様子は分からずミステリアスな存在だ。 ■果実 花期が終わると、花序柄には紡錘状円筒形の果実が出来る。果実は蒴果で、熟して何かに触れると果皮が弾けてクルクルと巻き、種子を弾き飛ばす。 ■近縁種 キツリフネ キツリフネ(黄釣船)は同属の1年草で、全国各地の山野で自生している。形は似ているが、相違点も多い。ツリフネソウに対しキツリフネは、花の色は黄色(ツリフネソウは赤紫)、花がつく位置は茎上部の葉の下(同上)、距の形状は緩やかに曲がる(同渦巻状)、花期はキツリフネが少し早い。そして、湿地を好み生息環境も同様なので、混在して咲いていることもある。 ■ツリフネソウと日本人 ツリフネソウは、その独特の花の形状や、花の時期に湿地帯で群生する様子が美しく、自然愛好家には人気がある。しかし、草全体に毒性のヘリナル酸を含み、苦味が強くて食用にならず、危険な植物でもある。また、特殊な自然環境を好むため、民家の庭での栽培も難しい。世間一般には馴染みにくい要素を持っているので、美しくても風流な華道の世界では茶花には使われないし、文学の世界でもツリフネソウをテーマにした作品はも殆ど生まれない。また、ツリフネソウをテーマにした顕著な研究成果も見当たらない。そんな人間の思いは、野に自生する雑草には与り知らぬことであり、ツリフネソウは孤高の世界で生きていく覚悟が出来ているのだろう。
セイタカアワダチソウ - 日本では侵略的外来種、故郷では薬効植物
セイタカアワダチソウ(背高泡立草)は、キク科アキノキリンソウ属の多年草。北アメリカ大陸の原産で、日本には明治時代末期に観賞目的で渡来し、昭和40年代以降に全国で爆発的に繁殖するようになった。これは、アメリカからの輸入物資についてきた種子が原因と言われている。戦後の減反政策によって、栄養豊富な休耕田に外来種の3mを超えるような背の高い草が突然繁茂し、騒動になった。繁殖地が在来種のススキなどと重なることもあり、侵略的外来種に指定され、現在でも各地の自治体で駆除の活動が続いている。突然、悪者扱いされたセイタカアワダチソウは、秋の花粉症の原因だとの嫌疑をかけられた。しかし、セイタカアワダチソウは虫媒花であり、真犯人は同時期に咲く風媒花のブタクサ(キク科ブタクサ属)であることがわかり、とんだ誤解も受けている。名の由来は、日本では背の高い草で泡立つように花が咲くことから"背高泡立草"、アメリカでは金の竿を意味する "Goldenrod" で、ともに外観を率直に表現したもの。 生態的には、セイタカアワダチソウはアレロパシー(他感作用)を持つ植物として知られている。これは、根から化学物質(cis-DME)を出し、周囲の植物の成長を抑制する働きをする。cis-DMEに初めて触れる在来種の植物の勢いは衰えるが、地中のcis-DMEの濃度が高くなると、セイタカアワダチソウ自身の種子の発芽も抑制されるようになり、ススキなどの在来種が勢力を挽回する現象も出ている。 原産地の北アメリカでは、セイタカアワダチソウは雑草ではなく、薬効のある有用な植物と見做されている。セイタカアワダチソウに含まれるポリフェノールやフラボノイド、サポニンなどの成分が、抗酸化作用、デトックス効果、免疫力向上などに作用し、入浴剤やハーブティー、オイルなどに利用されている。更に、養蜂家にとっては、冬を迎える前の貴重な蜜源植物にもなっている。所変われば、植物の評価も変わる。自然環境の相違と、その植物に対する人の理解の程度によるものだろう。日本のセイタカアワダチソウの将来は、どうなるのだろうか。 【基本情報】 ・名称:セイタカアワダチソウ(背高泡立草) ・別名:セイタカアキノキリンソウ(背高秋の麒麟草)、ダイハギ(代萩)、ゴールデンロッド(Goldenrod) ・学名:Solidago altissima ・分類:キク科 アキノキリンソウ属の多年草 ・原産地:北アメリカ大陸中北部 ・分布:明治時代末期に園芸目的で渡来し、昭和40年代に全国各地で繁茂 ・花言葉:力強さ、繁栄、生命力、元気、唯我独尊、記憶を持つ、変わらぬ愛 ■生態 セイタカアワダチソウは多年草で、種子ばかりでなく、地下茎でも繁殖する。河原や空き地などに群生し、高さは、土地の肥沃度によるが、1~4.5m程度にもなる。草姿はシンプルで、茎は枝分かれせず上に伸び、最上部に黄色い花序がつく。英名のGoldenrodの由縁だ。縦横に広がっている地下茎から、地上に茎が出て真っ直ぐに伸びる。茎や葉など、全体に短毛が密生する。これが近縁種オオアワダチソウとの顕著な相違だ。葉は茎に互生し、形は披針形で細かい鋸歯があり、3本の側脈がある。 ■花 茎の上部の葉腋から枝を出し、それに多数の蕾がつく。蕾は黄色みを帯び、短い花柄によって枝につながる。蕾が開花すると、頭花がついた枝が横に広がり、大きな円錐花序を構成する。個々の黄色い頭花は、枝の上側に規則的に並ぶ。キク科の植物らしく、頭花は舌状花と筒状花の集合体で、満開時には隙間なく連なる。頭花は、周辺に10個程度の舌状花、中心に数個程度の筒状花がある。舌状花は雌性だが、筒状花は両性花で果実をつくる。筒状花は、開花前は花被片がつながって楕円体のように見えるが、開花すると5弁の花になり、中央に雌蕊が伸びる。 ■果実 花が終わると、花被片が枯れ、子房部分が目立つようになる。やがて、花序部分は白い綿毛に覆われる。この状態が"背高泡立草"の名の由来だ。果実は痩果で、中に1個の種子があり、綿毛によって拡散する。繁殖は、種子による方法と、地下茎の栄養繁殖もあり強力だ。 ■近縁種 オオアワダチソウ セイタカアワダチソウに姿形が良く似たものに、同属のオオアワダチソウ(大泡立草、学名: Solidago gigantea Aiton subsp. serotina)がある。遠目で見るとは、区別が出来ない程だ。北アメリカ原産で、日本では外来種として全国に定着している点も同じだ。両者の相違点は3つある。オオアワダチソウの背丈は、0.5~1.5mと、半分程度だ。また、葉や茎に短毛が密生するセイタカアワダチソウと異なり、毛がない。花の時期は、オオアワダチソウは夏だが、セイタカアワダチソウは秋だ。気が付かなければ、随分と長い間花が咲き続けていると錯覚しそう。キク科の瓜二つの雑草であるハルジオンは春、ヒメジョオンが夏に開花するのと類似している。 ■セイタカアワダチソウと日本人 日本では、何かと評判の悪いセイタカアワダチソウだが、最近の研究成果では、癌細胞に対して増殖抑制効果を持つことが明らかになった。広島大学の研究グループが"セイタカアワダチソウから新たな抗癌活性物質を発見"を公表した(詳細はここをクリック)。セイタカアワダチソウ抽出液から、分裂酵母を用いて、細胞内で輸送にかかわるタンパク質の一種であるヒト14型キネシン(HSET/KifC1)の働きを阻害する新規低分子化合物(低分子コラベン酸誘導体)を同定することに成功した。その化合物が実際に乳癌細胞に対して増殖抑制効果を持つことを明らかにした。本研究で行った分裂酵母を利用した阻害剤探索アプローチは、ヒト疾病治療薬シーズを体系的に発掘するためのブレークスルーとなる発展性を秘めている。 実際に癌細胞に対し、増殖抑制効果が確認できたのは大きな成果だと思う。将来の癌治療に新しいアプローチが出来ることを期待したい。これが、あのセイタカアワダチソウによって実現されたのは、大きな驚きだ。
ヒガンバナ - 拡散する多様なイメージ
ヒガンバナ(彼岸花)は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草。中国大陸原産で、日本では史前帰化植物として全国各地に分布するが、北海道や東北地方北部では自生は厳しいらしい。ヒガンバナと言えば、秋のお彼岸の頃に、赤い鮮やかな花を咲かせる。南北に長い日本列島でも、ほぼ一斉に開花するのは、絶対的な温度にではなく、夏から秋への温度差に反応するためらしい。 花期のヒガンバナは、花茎の先端に数個の花が放射状に輪を描くように集まり、それぞれの花が大きく反り返った長い花弁を持つので、花序全体になるとかなり大きく感じる。そして、この時期には花茎には葉がつかないので、花だけが空間に浮いているような不思議な印象を与える。葉は、秋の開花後に生え始め、冬から春にかけて成長して、翌年の初夏に枯れる。この間に光合成で貯めた養分は地下の球根(鱗茎)に蓄えられる。日本のヒガンバナの染色体は3倍体なので不稔性で、折角鮮やかな花を咲かせても種子は出来ず、地下の鱗茎だけで繁殖する。群生する場所は人によって決められ、主に水田の畦道や墓などに植栽される。これは、ヒガンバナが有毒成分アルカロイドを含み、虫除けやモグラなどの小動物の侵入を防ぐなど、ヒガンバナの特性を利用したからだ。 このように変わった生活史も持つヒガンバナは、人々に様々な印象を与える。別名の曼珠沙華(マンジュシャゲ)は、サンスクリット語で"天界に咲く赤い花"を意味し、仏典では吉兆を表す。また、秋の彼岸に咲き、有毒であることから、死人花や灯籠花、墓花、地獄花、幽霊花など不吉な別名も多い。かと言えば、花と葉が同時に見られないことから、ハミズハナミズ(葉見ず花見ず)との即物的な別名もある。日本人のヒガンバナに対する思いは様々だ。 有用性の観点からは、かつては有毒成分を水で晒して救飢植物として食料としたり、鱗茎は生薬の石蒜(せきさん)にしたりした。文化的には、鮮やかな花や、毒性や死のイメージが交差し、創作意欲を刺激している。秋の季語とする俳句や、音楽や映画、小説などにも度々登場する。やはり、何か特別に気にかかる植物である。 【基本情報】 ・名称:ヒガンバナ(彼岸花、石蒜) ・別名:曼珠沙華(マンジュシャゲ)、カミソリバナ(剃刀花)、シビトバナ(死人花)、トウロウバナ(灯籠花)、ハミズハナミズ(葉見ず花見ず)など ・学名:Lycoris radiata (L'Her.) Herb. ・分類:ヒガンバナ科 ヒガンバナ属の多年草 ・原産地:中国大陸 ・分布:日本では史前帰化植物で、日本全国に分布 ・花言葉:情熱、独立、あきらめ、再会、悲しい思い出、旅情 ■生態 秋の彼岸が近づくと、地下にある鱗茎から花茎が急速に伸び、その先に蕾をつける。このときには、葉はまだ出ていないので、直立した細い花茎だけがやけに目立つ。やがて散形花序に出来た蕾が開き始めるが、花はわずか1週間程度の寿命だ。花が枯れた直後に、深緑色の線形の葉が地上に現れる。葉は、冬にも光合成を続けながら群生し、初夏に枯れるが、その間には栄養分を地下の鱗茎に貯める。花の時期は一瞬だが、1年の殆どの期間は、群生した草の状態で過ごす。 地表から花茎が伸び始めたときには、既にその先端に苞葉に包まれた蕾の集団がある。やがて、苞葉が破れ、散形花序を構成する数個(5~10程度)の蕾が分離する。同じ花序の中にある花は、ほぼ同時に開花する。開花した散形花序を上から見ると、数個の花が輪を描くように放射線状に並んでいる。下から花序を見ると、花茎と花柄の接点には、枯れた苞葉が残る。 一つの花の構造は、反り返った花被片が6枚あり、基部から雄蕊6本と雌蕊1本が長く伸び、花被片のかなり外側まで突き出し、立体的に見える。満開になると、花被片や雄蕊、雌蕊が幾重にも重なり、ボリューム感のある赤い塊になり、見事な景観を創り出す。埼玉県日高市にある巾着田は、高麗川の蛇行した氾濫原に、上流からヒガンバナの鱗茎が漂着して自生地となったと言われている。人手を介さずに群生地となったが、現在はボランティア団体が保護活動を続けている。 ■果実 日本のヒガンバナも花が咲けば密を出すので、それを求めてチョウやハチなどの昆虫が集まる。しかし、昆虫が花粉を運んでくれても、日本のヒガンバナは不稔性なので果実は出来ない。花が枯れると、若い果実が出来るが、それが成長することはない。これでは、ヒガンバナはお人好しの利他主義者だ。エネルギーの無駄遣いのように思うが、過去に獲得した遺伝子をそのまま維持するためのルーチンなのだろうか? 鱗茎によって繁殖は出来るので、そのようなことは、ヒガンバナにとっては大した問題でないのかもしれない。 ■白いヒガンバナ 赤い花のヒガンバナの群生の中に、形状は同一で白い花のものを見かけることがある。日本のヒガンバナは不稔性であり、自然交配では出来ないので、突然変異で白いヒガンバナが生まれた考えるのが妥当だろう。しかし、園芸の世界では、2倍体で稔性のあるどうしの中国原産のコヒガンバナと、 ショウキズイセン(鍾馗水仙)を交配して、新たな品種シロバナマンジュシャゲ(白花曼珠沙華、別名白花彼岸花)を創り出した。花色は、白地にピンクや黄色の筋が入り、純白にはならないらしい。素人目には、白いヒガンバナとシロバナマンジュシャゲを見分けるのは、結構難しいと思われる。 ■ヒガンバナと日本人 日本人にとってヒガンバナは、ちょうど秋の彼岸に咲き、死人や墓場を連想させ、しかも有毒なので、おどろおどろしい印象が定着している。 ところが最近、ヒガンバナの有毒物質アルカロイドに関して、新たな有用な酵素に関するの研究成果が報告された。富山大学の研究グループによる"ヒガンバナアルカロイド生合成中間体メチル化酵素の生成物特異性に関わる機構を解明"だ(詳細はここをクリック)。ヒガンバナがつくるアルカロイドの合成に関わるメチル化酵素の構造と機能を解明し、特定の酵素に変異を導入することで、天然には存在しない"m位専用メチル化酵素"の創出に成功した。これにより、抗がん活性が期待される稀少アルカロイド(例:シュードリコリン)の合成が可能になり、新たな創薬の開発に貢献する可能性が拓けた。 この研究が実用化された折には、ヒガンバナのイメージがポジティブなものに変わっていくことを期待している。
ヒヨドリジョウゴ - 実も花も葉も独特
ヒヨドリジョウゴ(鵯上戸)は、ナス科ナス属の多年草。日本の在来種であり、全国の山野に自生する雑草。名の由来は、酒が苦手の人を下戸と言い、大酒飲みを上戸(じょうご)と呼ぶが、小鳥のヒヨドリがこの赤い実を好んで食べることから命名された。蔓性の植物で、陽当りの良い山野や道端で、他の植物に絡みついて成長する。茎も葉にも細かな毛が密集して、触れるとベトベト感があり、これが絡みつくのに役立ちそうだ。花は、5弁の白いナス科らしい形で、緑の斑点のアクセントもあり美しい。雄蕊の花粉の出口が一方向に限定されているので、昆虫が仲介してするには構造的にやり難く、何か秘密でもありそうだ。葉の形も不安定だ。茎につく場所によって、3通り程度に変化する。果実も曲者だ。ミニトマトを更に小さくしたような鈴なりの赤い実は美味しそうだが、ソラニンという毒性物質を含むので、人間が沢山食べると嘔吐や下痢などを引き起こす。ヒヨドリジョウゴは、現代の日本人にとっては有用な植物ではないが、夏の小さな白い花や、秋の赤い果実が季節の移ろいを感じさせてくれる。古典文学の世界では、一般に広く知られた植物でも無く、華やかな印象もなかったので、取り上げられることはなかった。結局、ヒヨドリジョウゴは、昔も今も、知る人ぞ知る雑草なのだ。 【基本情報】 ・名称:ヒヨドリジョウゴ(鵯上戸) ・別名:ホロシ(保呂之、桯) ・学名:Solanum lyratum ・分類:ナス科 ナス属の蔓性多年草 ・原産地:東アジアから東南アジアに広く分布 ・分布:日本の在来種で、全国の山野に自生 ・花言葉:忍耐、成長、真実 ■生態 根茎から地上に現れたヒヨドリジョウゴの茎は木質のように硬く、やがて枝分かれして細くしなやかになって上方に伸びていき、周囲に草木やフェンスなどがあると、それらに絡まる蔓性の植物で、高さは2m程になる。茎や葉など、全草が柔らかな毛に覆われている。葉は茎に互生し、葉の形は場所によって異なり、枝の基部から先になる程、5裂、3裂、卵形に変化する。葉に鋸歯はなく、短い毛に覆われる。蔓性ではあるが、他の植物を覆い尽くす程の攻撃力はない。 ■花 ヒヨドリジョウゴは雌雄同株で、花は両性花。茎につく葉の腋から、集散花序を出し多数の蕾ができる。同じ花序でも、蕾から花になる時期に多少時間差があるようだ。蕾の先が割れて開花すると、白い花冠が深く5裂し、後方に反り返る。花冠の基部には緑色の斑点があり、黄褐色の葯をもつ雄蕊が5本あり、雌蕊の花柱が突き出る。他のナス科の植物と同様に、花粉は葯の先端の穴から放出される特殊な構造をしている。 ■果実 花が終わると、花被片や雄蕊、雌蕊が落ち、子房が成長して緑色の若い果実になる。果実は生育するにつれ、果皮は緑色から赤へと変化する。果実は液果で、陽が当たると、果皮を通して多数の種子があるのが分かる。冬になると果皮に皺がよるが、枝に残るものも多い。この赤い果実は、人間にとっては有毒だが、餌の少ない冬にはヒヨドリなどの野鳥が集まる。 ■ヒヨドリジョウゴと日本人 ヒヨドリジョウゴの花の構造は、少し変わっていて、雄蕊の葯の花粉の出口方向と、雌蕊の方向が同じであることを述べた。この理由について解析を行った研究報告がある。東京大学の研究グループによる"日本産ナス属植物における花形態変異と系統関係"だ(詳細はここをクリック)。先ず、ヒヨドリジョウゴは、自家和合性(自家受粉可能)なのか、それとも自家不和合性なのかとの課題にたいして、日本在来ナス属植物4種(ヒヨドリジョウゴ、ヤマホロシ、マルバノホロシ、オオマルバノホロシ)を用いて、自生個体と博物館標本をゲノム解析法を用いて、単一の進化的系統からなりことを確かめ、更にヒヨドリジョウゴで袋がけ実験と花粉管伸長観察を行なったところ、本種は自家和合性であることが明らかになった。また、ヒヨドリジョウゴは、他の3種と比較すると、葯から柱頭までの距離が長く、自家和合性であっても出来るだけ自家受粉を防ぎ、他の花の花粉を受け入れるように、花の形が進化した可能性が示唆された。 花の形態一つにしても、このような説明があると、納得できる。葉の形の変形についても何か理由がありそうだ。身近な雑草ヒヨドリジョウゴは、未だ謎は多いようだ。
ミズヒキ - 正体が定かでない繊細な雑草
ミズヒキ(水引)は、タデ科イヌタデ属の草本の多年草。日本の在来種であり、日本全国の山野や林内で自生している。長い花穂に赤と白のツートンカラーの花が連なる様子が、お祝いに使われる紅白の水引に似ているので、ミズヒキと命名された。また、観賞的には、グランドカバーのような葉の絨毯の上に、繊細な花穂が縦横に広がっている様子は人目を引き、庭園に植栽されたり、茶花として利用される。植物的には、不可思議な点が多々ある。花は雄花と雌花があるのか、それとも両性花なのか、葉の八の字模様はどのような条件で現れるか…など。人間との関係では、ミズヒキは食用にも薬用にもならず、古典文学にも目立ったものは無い。市井の人々にはただの雑草と思っているが、数奇者にとっては賞賛すべき存在なのだろう。 【基本情報】 ・名称:ミズヒキ(水引) ・別名:ミズヒキグサ(水引草)、ハチノジグサ(八字草) ・学名:Persicaria filiformis ・分類:タデ科 イヌタデ属の草本多年草 ・原産地:日本、中国、朝鮮半島、ベトナムなど ・分布:日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで全国各地 ・花言葉:慶事、祭礼、感謝の気持ち ■生態 ミズヒキは雌雄同株。ミズヒキの姿は、茎についた大きな葉が重なり、その上方に長い花序があって、草丈は高いもので80cm程度になる。茎は地表から直立し、疎らに枝分かれする。葉は茎に対して互生し、葉の形は楕円形で先端が尖り、短い葉柄には鞘状の托葉がつく。葉の表面には、"八”の字の斑模様が入ることがあり、これが別名のハチノジグサ(八字草)の根拠になっている。茎頂や葉腋から長い総状花序を出し、蕾や花、果実がつく。 ■花 夏になると、弓なりの花序に先の尖った楕円体の蕾が出来る。ここから先が問題で、ミズヒキの花には雌花と雄花があるという説と、両性花が時期によって雄性になったり雌性になったりすると言う説がある。ここでは、前者を前提に説明し、後者の可能性も探ってみる。開花した雄花には、花被片としては花弁はなく、4つの萼片があり、その上半分が赤、下半分が白い。これが水引と呼ばれる所以だ。雄花には白い葯がある雄蕊が5本と、小さく退化したような雌蕊がある。一方、雌花は閉じたままで、先端が2裂した雌蕊の柱頭が外に露出しており、この状態で花粉を受け入れるのだろう。ミズヒキの花が両性花かと言う問題については、雄花を閉じつつ、雌蕊が長く伸びているようなケースがあれば信じられるのだが、実際の花序の中では、雄花や雌花が混在していても、その変遷過程の花は見つからないので、両性花説は説得力はないと思う。 ■果実 雌花と若い果実は形は同じだが、果実は先端の花柱が褐色になる。さらに成熟すると、果実の果皮は枯れ、花柱の残骸がフック状となり"引っ付き虫"になり、動物や人によって種子が拡散する。この果実は痩果で、1個の種子が含まれる。 ■白花種 ギンミズヒキ ミズヒキの花は紅白なのに対し、ギンミズヒキは白一色。園芸種ではなく、古くからの自生種で、花の色以外の特徴はミズヒキと同じ。特に珍しいものではなく、ミズヒキとギンミズヒキが並んで咲いていることもある。 ■ミズヒキと日本人 古典文学では顧みられなかったミズヒキだが、近代文学ではテーマとして取り上げられるようになった。昭和初期に詩人立原道造による詩集「萱草に寄す」の中の「のちのおもひに」(抄)は、 夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に 水引草に風が立ち 草ひばりのうたひやまない しづまりかへつた午さがりの林道を これは、山麓の寂しい村を舞台に、ミズヒキの穂が風に揺れ、草ひばり(秋の虫)が鳴き続ける午後の林道の情景を描写したもので、ミズヒキの振る舞いが重要な役割を果たしている。この詩は幾つかのサイトでも取り上げられており、日本人の琴線に触れるものなのだろう。
アマドコロ – 風情ある野の植物
アマドコロ(甘野老)は、キジカクシ科アマドコロ属の多年草。原産地は東アジアと言われ、日本では北海道から九州までの陽当りの良い山野や林縁などに自生する。名の由来は、根茎の形がヤマノイモ科のトコロ(野老)類に似ていて、且つ甘みがあることから。この甘みを持つ春の若芽や地下茎のが、山菜として食用にされたり、保存食にもなった。また、釣り鐘状の小さな花が、葉の下で物静かに並んで咲く姿が日本人の質素な美意識にかなっているため、茶道の茶花や華道の材料として使われる。そればかりか、日本人は園芸種として育成し、葉に白い斑が入る呼称ナルコランなどを育種した。薬用には、滋養強壮や消炎薬としてかつて使われた時代があった。古典では似兒草(にこぐさ)がアマドコロではないかとの説があるが、どうも未確定らしい。また、アマドコロのような白い釣り鐘状の花が咲く植物は、ナルコユリやホウチャクソウなど幾つかあり、形状が微妙に違ったり、有毒であったりするので、アマドコロを知るのなら、真面目なお付き合いが必要だ。現代人にとって、アマドコロは雑草の一つであるが、山菜や園芸、茶道や華道などの分野ではその資質を認められているようだ。 【基本情報】 ・名称:アマドコロ(甘野老) ・別名:アマナ(甘菜)、キツネノチョウチン ・学名:Polygonatum odoratum var. pluriflorum ・分類:キジカクシ科 アマドコロ属の多年草 ・原産地:日本を含む東アジア ・分布:日本では、北海道、本州、四国、九州に自生 ・花言葉:元気をだして、心の痛みが分かる人、小さな思い出 ■生態 アマドコロの地下茎は横に伸び、その先に1本ずつ花茎を立て、群生をつくる。草丈は数十cm程度。葉は茎に対し互生し、茎は紫褐色を帯びることもある。葉身は幅が広い長楕円形で両端が少し尖り、葉脈は平行脈。葉の色は自生種は緑色だが、園芸種の中には白い斑模様の入ったものも住宅地付近では良く見かける。上部の茎には4~6本の稜角があり、花柄は葉の腋からでる。茎は途中で枝分かれすること無く、1本の花茎に幾つかの花がほぼ等間隔で並ぶので、爽快感がある。 ■花 花茎の葉の腋から花柄が伸び、1~2本に枝分かれして釣り鐘形の花がつき、基部の方から生長する。開花前の蕾は閉じた白い長楕円体で、先端部が緑色を帯びる。花の構造は、花の基部に膨らみはなく花柄と直結し、花被片は筒状に合着し、花被片の先端部は6裂し尖る。花の開口部から雌蕊の柱頭が見え、その奥に雄蕊が6本ある。 ■果実 花期が終わり、花被片が枯れると、若い果実が生長を始める。果実は液果。夏の未成熟な果実は暗緑色だが、秋に黄葉する頃には、果実は青黒くなり成熟する。果実の中には、種子が2個入っている。アマドコロの繁殖は、種子による実生の他、地下の根茎の分岐(シュート)による方法もある。 ■近縁種2種 ナルコユリ(鳴子百合)は、アマドコロと同じキジカクシ科アマドコロ属の多年草。外観は良く似ているが、相違点を列挙すると、各葉腋から花柄を出して、アマドコロは1~2個の花をつけるが、ナルコユリは3~8個の花をつける。茎の形は、アマドコロは陵があるが、ナルコユリは円柱形。また、ナルコユリは、花と花柄の接点に突起がある。 ホウチャクソウ(宝鐸草)は、イヌサフラン科ホウチャクソウ属の多年草。花の形は一見似ているが、アマドコロは花被片が合着した筒状花だが、ホウチャクソウは分離している。花のつき方は、アマドコロは葉腋から、1~2個の花がぶら下がるが、ホウチャクソウは茎の先端で数個の花がまとまって垂れ下がる。また、アマドコロは食用になるが、ホウチャクソウは有毒。似ているのは花の形だけで、性質はかなり異なる。 ■アマドコロと日本人 アマドコロは、春の若い茎葉が食用になり、また斑入りのアマドコロの切葉が花材として利用され、日本や台湾では促成栽培が行われている。これを効率的に実施するには、どのような温度管理をすべきかを10年余りに亘って調査したレポートがある。山形大学の研究グループによつ"アマドコロの根茎休眠と低温処理によるその打破"だ(詳細はここをクリック)。 実験方法は、根茎を切り出し、同類の土壌に植えた鉢を準備し、鉢を恒温槽に入れて低温処理が出来るようにした。自然のままでは、11月初め以前は休眠状態にあり、1月上旬から中旬には覚醒して、休眠状態が打破される。休眠打破に有効な温度は12℃以下で、特に0~6℃が適温であり、処理期間が長いほど休眠打破効果が高まる。例えば、5℃での低温処理では、10月中下旬以降に適用すると、8週間程度の処理で年末頃には休眠打破が可能となる。 これらの結果から、自然条件下での休眠覚醒の目安は、日平均気温が9℃以下の日数が約68日、6℃以下の日数が約53日で休眠が完全に覚醒するとのこと。 この実験によると、栽培施設は必要だが、機を逃さず効率よく出荷が可能になる。今回はアマドコロの例だったが、農業の付加価値向上のための優れた手段だと思う。










