ギンヨウアカシア - ミモザの代表種
ギンヨウアカシア(銀葉アカシア)は、マメ科アカシア属の常緑高木。オーストラリアの原産で、日本には明治末期に渡来し、観賞植物として庭木や公園などで植栽されている。名の由来は、アカシア属で葉が銀色を帯びているから。また、早春に咲く黄色い花が見事なので、ハナアカシア(花アカシア)の別名がある。しかし、園芸業界では"ミモザ"とか"ミモザアカシア"の名でも流通している。また、ギンヨウアカシアの近縁種フサアカシアの英語名が誤用されて"ミモザ"になった複雑な事情もある。経緯を辿ると、ミモザはマメ科オジギソウ属(学名:Mimosa)のことで、葉の形がアカシア属と似ていることから誤解された。このように有象無象の"ミモザ"が存在するが、日本では"ミモザ"と言えば、このギンヨウアカシアを思い浮かべる。それは、"ミモザ"の中で最も普及しているからである。ついでに言えば、明治時代に輸入されたニセアカシア(別名ハリエンジュ、マメ科ハリエンジュ属、学名: Robinia pseudoacacia)を当時アカシアと称していたことも現在の混乱に拍車をかけている。
ギンヨウアカシアは、長い枝に小さな黄色い球形の花を隙間無く連ね、銀色の変わった形の葉が覗いて異国風の雰囲気を漂わせ、サクラよりも早く春を告げる樹木だ。鑑賞樹には相応しい特質を備えているが、オーストラリアから帰化したこの植物は、成長が早く枝は伸び放題になり、剪定を怠ると樹形が崩れ、手間のかかる植物でもある。文化的には、3月8日の"国際女性デー"の贈り物になったり、生け花での新しい花材になったりと、日本でも存在感が増している。

【基本情報】
・名称:ギンヨウアカシア(銀葉アカシア、銀葉金合歓)
・別名:ハナアカシア(花アカシア)
・学名:Acacia baileyana
・分類:マメ目 マメ科 ネムノキ亜科 アカシア属の常緑高木
・原産地:オーストラリア南東部
・分布:日本には明治末期に渡来し、温暖な地域で植栽されている
・花言葉:優雅、友情、秘密の恋、感謝 など
■生態
ギンヨウアカシアは、雌雄同株で花は両性花。しかし、葉の構造も、花序や花の構造も階層的なため、意識して観察する必要がある。ギンヨウアカシアの幹は地表から直立し、成長が早く、枝は分岐して長く伸びるので下に垂れる傾向がある。このため、樹形は広がり易い傾向があり、庭木として植栽するには適切な形になるよう剪定が欠かせない。また、成長速度が早いが故に、地表から直立した幹の樹皮は若いうちは緑色を帯びるが、成長するにつれ灰褐色になり、表面には割れ目が生じる。



枝は直線的に伸び、それに団扇のような2回偶数羽状複葉が螺旋状に互生する。この複雑な複葉は、左右対称に偶数の小葉から成り、その1つの小葉は葉軸を挟んで左右対称に十数枚の長楕円形の小葉片が並ぶ。また、葉の色は緑と言うよりはメタリックな銀色を帯びているのが特徴だ。ギンヨウアカシアを見分けるには、この葉の構造と色で判別できる。




■花
葉の腋から長い花序柄が伸びて総状花序が出来、その先に蕾の集団ができる。花序は階層的な構造になっており、総状花序の花柄には球形花序がつき、それぞれ10~20個の蕾や花が出来る。蕾が開き始めると、1つの花には中心に1本の長い雌蕊、周囲に多数の雄蕊、その外側に5裂した花被片がある。隣接した花が開くと、雄蕊が伸びて花被片が隠れ、球形花序が全体として球形の黄色い花のように見える。この黄色い球形花序が、鈴生りになって枝に沿って垂れ下がる様子は圧巻で、春を告げる花に相応しい。





■果実
晩春になると果実ができ、生育するにつれ外皮は緑色から赤褐色になる。果実は豆果で、完熟すると豆鞘が開き、最大12個の種子を放出する。ギンヨウアカシアの繁殖方法は、この種子による方法が発芽率が高く一般的だ。他に挿し木による方法もあるが、発根率が低いらしい。


■近縁種 フサアカシアとパールアカシア
アカシア属の植物は、オーストラリアを中心に約1000種程あると言われている。ギンヨウアカシアに良く似たアカシア属の植物で、日本でも見かけるものを2つ挙げる。
フサアカシア(学名:Acacia dealbata)は、ギンヨウアカシアより樹高は高いが、花や葉の構造は良く似ている。葉はやはり2回偶数羽状複葉だが、小葉が10対以上と多く、また小葉につく小葉片も30対以上と多い。また葉の色は、普通の緑色だ。このため、葉を見れば、容易に区別がつく。

パールアカシア(別名:ムクゲアカシア、学名:Acacia podalyriifolia)は、葉が複葉でなくシンプルな楕円形をした単葉で、葉の色は真珠を連想させるような銀色を帯びている。これも葉で区別できる。

■ギンヨウアカシアと日本人
ギンヨウアカシアは、観賞用の樹木としての需要が拡大しているが、そればかりでなくミモザ精油市場も注目されている。ミモザ油は、ギンヨウアカシアの花から水蒸気蒸留法や溶剤抽出法によって得られる天然由来のエッセンシャルオイルで、爽やかな香りが特徴で、アロマテラピーのリラックス効果や、肌の保湿効果があるとされ、香水のベースノート(基調)やスキンケア製品にも配合されることがある。このため、調査会社に依ると、ミモザ油の世界市場は年平均成長率4.7%で拡大を続けると予測されてる(詳細はここをクリック)。
ギンヨウアカシアは、これまでは花を愛でる対象であったが、精油技術の進歩により香りを楽しむ対象にもなりつつある。どの様に市場に影響を与えるのか注目していきたい。

