ウスタビガ - 黄緑色の繭は安息の棲家
冬になると、落葉樹は葉を落とすので、枝に何かがぶら下がっていると、良く目立つ。まして、それが際立った色だったとしたら、その落葉樹とは別の生物体と考えるのが妥当だ。今回見つけたものは、形状はほぼ楕円体で、大きさは長さ4cmで直径2cm程度。上部は平たく閉じられ、下部には水抜きのような小さな穴が空いていて、鮮やかな黄緑色の物体だ。そして、上部から糸のようなものがあり、これが木の枝に繋がっている。


これらの画像を使って検索してみると、これはどうやらウスタビガ(薄手火蛾)の繭の抜け殻らしい。内部はどうなっているのだろうか? 上から下へ鋏を入れて半開してみると、虫の抜け殻が目に入った。頭部や胸部、背中部分は黒褐色、腹部に相当する部分は灰色がかった黄色で、前者は乾燥しており少しでも振動を与えると崩れる位乾燥しているが、後者は多少触れても形は崩れない。繭の中で蛹が成長し、成虫となって繭から外の世界へ飛び出す直前に脱皮をしたのだろう。繭を分解し内容物を並べて見たが、この過程で黒褐色の背中の部分は粉々に砕け、粉末状になってしまった。冬の関東地方は余程乾燥しているためかもしれない。




ウスタビガが蛹となって繭の中で過ごす状態は分かったが、その前後はどの様な姿をしているのだろうか? Wikimediaによると、晩秋に産みつけられた卵は越冬して4月頃に孵化し、幼虫は4回脱皮し、初夏に蛹になるが、その時の幼虫の体色は最終的に緑色になる。 周囲の木の葉に紛れるための保護色なのだろう。

その後、晩秋までに羽化するまでの3~4ヶ月間は繭の中で過ごす。成虫は大きく、開張は7.5~11cmにもなる。しかし、成虫は口を持たず、食物を摂取できないので、その寿命は短く、1週間程度と言われている。このため、死ぬ前に配偶相手を見つけることに全エネルギーを費やす。

ウスタビガの幼虫時代は、天敵の鳥に狙われながらも植物の葉を食べてひたすら成長を続け、成虫になると子孫となる卵を産んで寿命が尽きる。そうすると、蛹になって繭の中に潜んでいる間が唯一の安息の期間のようだ。なかなか厳しい生き様だ。
【ウスタビガの基本情報】
・名称:ウスタビガ(薄手火蛾、薄足袋蛾)
・別名:中国語:透目大蚕蛾、英語:Squeaking Silkmoth
・学名:Rhodinia fugax
・分類:チョウ目 ヤママユガ科
・原産地:日本、中国、韓国、極東ロシア
・分布:日本では北海道、本州、四国、九州


