タラの芽 – 伐採枝の水栽培から天ぷらへ

 タラノキ(楤木)は、ウコギ科タラノキ属の落葉低木。日本各地の陽当りの良い山野に自生する。幹や枝などに鋭い棘があり、あまり枝分かれせずに真っ直ぐ伸びる姿は、結構インパクトが有る。夏に白い花を咲かせ、秋には黒紫色の実をつけ、樹高は2~6m程度。山林の荒れ地や林縁に自生し、成長が早く群生するパイオニア植物なので、放置すると他の植物を駆逐してしまう。ただ、人間にとって、大変魅力的な点がある。それは、春に芽吹く新芽がほろ苦くまろやかな味わいを持つ"タラの芽"で山菜の王様と呼ばれていることだ。タラノキは鋭い棘だらけの枝の先に冬芽をつけるが、春になると冬芽から若い葉へと成長を始め、これが山菜のタラの芽になる。

タラノキの枝の先に出来た冬芽 (‎2026‎年‎2‎月‎24‎日 所沢市)

冬芽が成長し、山菜のタラの芽になった状態 (‎2023‎年‎3‎月‎15‎日 東京都薬用植物園)

 里山保存のボランティア活動のため、生物多様性を阻害するタラノキを駆除するすることになった。しかし、あと1か月もすると、立派なタラの芽ができる筈。そう思うと、良からぬアイデアを思いついた。タラノキの枝先を30cm程度切り取り、3月19日から水を入れた花瓶に挿しておくと、タラの芽に成長するのではないかとの期待だ。4本の伐採枝は、3月19日時点では、未だ葉は出ず冬芽の状態だった。その6日後の3月25日には、枝の個体差はあるが、葉芽になり伸び始めた。

枝の伐採後6日目には、冬芽が成長し葉芽の状態になった (2026年3月25日)

 水を交換しながら観測を続けると、枝伐採後16日目には、葉が本格的に展開を始めた。この状態だと、"タラの芽"のイメージよりも葉が開き過ぎたように思えたので、実験はここでストップ。4つの枝のサンプルをA、B、C、Dとして、伐採後6日目と16日目の状態を比較してみた。

枝の伐採後16日目には、葉が成長を始めた (‎2026‎年‎4‎月‎4‎日)

サンプルA:葉が急速に伸びた

サンプルB:冬芽が葉芽に変化した

サンプルC:葉芽から飛び出していた葉の成長が著しい

サンプルD:分かれた葉芽が均等に成長している

 今回の実験は、水耕栽培ではなく肥料なしの水栽培であり、花瓶に入れたサンプルは窓の内側に放置した状態なので陽当りにもバラツキがあったと思う。そのためか、タラの芽は太くなるよりも葉を伸ばすように成長し、タラの芽としては随分と細長くひ弱なものになってしまった。また、一番成長の著しかったサンプルAの水に浸かっていた部分は、白い突起物が出来ていた。これは根の役割を果たす成長点だろうか。

サンプルAに発生したものは、根の成長点か?

 枝からタラの芽相当分を切り離した。大きさも成長具合もマチマチで、とても農産物直売所で売っているような代物ではない。

枝から切り離した4つのタラの芽

 早速、天ぷらにして軽く塩を振って味見をした。切り離した部分に近いやや太い基部は、ほろ苦さがあり独特の風味があった。一方、展開してしまった葉の部分は、サクサクした歯応えは良いが、ほぼ味は無し。思いつきで計画性もない実験だったので、まぁこんなものかと言うのが正直な感想だ。ただ、水に浸かった枝の下方に発生した根の成長点のようなものを見つけたときには驚いた。逞しい生命力だと思った。

天ぷらになった4つのタラの芽