オオキンケイギク – 歓迎され嫌われた宿命
オオキンケイギク(大金鶏菊)は、キク科ハルシャギク属の宿根草。北アメリカの原産で、日本には明治中期に鑑賞目的で移入された。草丈が数十cm程度で扱い易く、見映えのする黄色い花は印象的だ。庭園ばかりでなく、道端や河原、土手などに植栽して土地の緑化にも利用された。しかし、繁殖力が高いために、第2次世界大戦後には野生化して生育領域が広がり、在来植物への影響が危惧された。このため、2006年に外来生物法に基づき特定外来生物に指定され、栽培や販売などが原則禁止された。現在では、全国各地の地方自治体は、県市町村ごとのレベルで、オオキンケイギクの駆除運動を推進している。インターネットでオオキンケイギクを検索すると、植物の説明よりも、自治体による駆除推進記事の多さに驚く。日本の侵略的外来種ワースト100にも選定され、現状は抜き差しならぬ状態になっている。当初は歓迎されていたが、オオキンケイギクが内在する高い繁殖力を見抜けず、多種多様な日本の植物相に影響を与えるためと言う理由で、わずか100年余りで駆除の対象になった。この責任は、オオキンケイギクの性格を理解できなかった人間にある。

【基本情報】
・名称:オオキンケイギク(大金鶏菊)
・別名:コレオプシス(学名由来)、特攻花(鹿屋基地周辺に自生していたので)
・学名:Coreopsis lanceolata
・分類:キク科 ハルシャギク属の宿根草
・原産地:北アメリカ
・分布:日本、台湾、豪州、サウジアラビア、南米等に移入分布
・花言葉:きらびやか、いつも明るく、新鮮で華やか、上機嫌、 陽気
■生態
オオキンケイギクは、この十数年来当地でも増えているような気がする。例えば、舗装道路の脇のコンクリートの隙間や、台地上の学校のグランドの法面の斜面でもよく見かける。 また、陽当りの良い地表では、地下に根が張っているためか、一面に繁茂する。この状態で花期を迎えると、黄色い花園に変化する。しかし、それも束の間、駆除運動のためか草刈り機で刈り取られる。しかし、この方法では地下の根は残るので、来年も多分この場所に生えてくるのだろう。



オオキンケイギクは種子繁殖も、地下茎や根による栄養繁殖も可能だ。春になると、多数の茎が束になり上に向かって伸びる。草丈は数十cmになり、葉は下方には根生葉が、上方には茎葉がつく。根生葉には長い葉柄があり、3か5枚の小葉に分裂する。一方、茎葉は細くて長い形をしており、茎に対生する。




■花
茎の中程で2~3本に分岐して長い花柄ができ、その先に蕾がつく。花柄の先には、8裂した外側の総苞片の上に蕾が載る。蕾の表面の8つの茶色の三角部分が内側の総苞片になる。花を横から見ると、外側の総苞片の先に筒状なった内側の総苞片があり、頭花はこの二重の総苞片に支えられているのが分かる。花はキク科らしく、頭花が頭状花序を構成し、中心部の筒状花と周辺の舌状花の集合体だ。舌状花の花弁には筋(花脈)があり、その先は不規則に4~6裂する。花の中には、花弁が重なって咲く、二重咲きの花もある。






■果実
花が終わると、順次総苞が果実へと変化していく。初めは緑色だが、完熟すると焦げ茶色に変化する。この中に多数の種子が含まれる。種子には、他のキク科の植物に多い羽毛のような羽根はなく、小さな翼がついている。風が吹くと、花柄だった長い茎がゆらゆらと揺れ、付近に種子がこぼれ落ちるのだろう。このようにして生息領域を広げていく。


■オオキンケイギクと日本人
現在では、侵略的外来植物として指名手配状態になっているオオキンケイギクだが、少しは人のためになることは無いのだろうか。岐阜大学の広報に"伐採が推奨されている侵略的外来植物に 抗がん作用のある物質が含まれていることを解明"と言う記事を見つけた(詳細はここをクリック)。この研究グループは、和漢薬などに用いられている薬用植物を始め,様々な植物にどのような化合物が含まれ,それらがどんな効果を発揮するのを明らかにする研究を行っている。本研究を始めた動機は、厄介者のオオキンケイギクを有効活用できる方法を発見し,伐採にお金をかけても付加価値が生まれるようにすることで,生態系の保全に寄与できないかと考えた。オオキンケイギクを採集し、アルコールに浸した後の抽出液からフラボノイドを検出し、実際にヒト白血病細胞を使って調べてみると、がんの増殖を抑制する効果を確認できた。類似の食用菊や鑑賞菊でも同様な実験をしたが、この効果はオオキンケイギク独自のものらしい。創薬に至るまでには、まだ多大な費用と年月がかかりそうだが、大いに期待したい。


