ハナミズキ - 日米の架け橋
ハナミズキ(花水木)は、ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木。別名はアメリカヤマボウシで、北米原産。1912年に、当時の東京市長尾崎行雄が米国ワシントンD.C.に贈ったサクラの返礼として、1915年に渡来。米国では、日本のサクラのように季節を知らせる花である。 アパラチア山脈の南部のジョージア州では初春に、北部のメイン州では春の終わりに開花し移動する模様は、”ハナミズキ前線”が日本の桜前線のように報道されることもある。しかし、不幸なことに日米関係の悪化により贈呈されたハナミズキが行方不明になるなど辛酸をなめた時代もあったが、現在では庭木や公園木として人気があり、日本各地で植栽されている。日本の在来種ヤマボウシに似ているが、春に咲くカラフルな花、秋の赤く艶のある集合果、そして深紅の紅葉など四季を通して楽しませてくれる。所沢市の小手指駅北側にはハナミズキの街路樹があり、春には地元の団体が小手指ハナミズキまつりを開催している。新興住宅地に良く似合う樹木でもある。
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【基本情報】
・名称:ハナミズキ(花水木)
・別名:アメリカヤマボウシ
・学名:Cornus florida
・分類:ミズキ科 ミズキ属 ヤマボウシ亜属の落葉高木
・原産地:北米
・分布:日本では、北海道、本州、四国、九州で植栽
・花言葉:返礼、永続性、華やかな恋、私の思いを受けてください
■形態
樹高は10m程度まで、樹形は、1本の幹を中心に枝は横に広がって、全体がほぼ丸い形になる。葉は茎に対生し、卵形や楕円形。花は枝先に1個つく。果実は枝の先に数個ずつ集まってつく。
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■花
初冬に枝先につく冬芽は、短い白色に毛に覆われていて、伝統建築物や橋の高欄にある擬宝珠のような形をしていて、これが成長して花になる。成長の過程で、冬芽が膨らみ何かを包むように球形になり、やがて花のようなものが現れる。ハナミズキの場合は、大きな花弁に見えるのは総苞で、その中心にあるのが複数の花が集まった花序だ。
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花の色、いや総苞の色は、赤、ピンク、白が多く、形は卵形で先端部にへこみがあり、その部分の色が白味を帯び強調されるので、総苞の形はシャープに見える。4枚の総苞片の中央部には、黄緑色の小さな花が20個程度集まって球形の頭状花序を構成する。1つの花は、花弁は4個で先がそり返り、雄蕊は4個で、雌蕊が中央に1本。
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■果実
果実は核果で、楕円形や卵球形をしており、枝の先に数個ずつ集まってつく。核果の内部には種子が2粒含まれる。 秋になると艶のある赤色に熟して、落葉後も枝先に残る。また、同時に来年の花期に備え、冬芽も成長する。
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■紅葉
秋の紅葉は陽の当たる部分は濃い赤色になり、葉陰の部分は緑色が残り、美しいグラデーションが見られる。他の樹木より紅葉する時期が早いので余計に目立つ。
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■ハナミズキと日本人
ハナミズキはアメリカ人にとっては春を告げる樹木であり、日本人がサクラに抱く感性と同じなのだろう。日米友好の架け橋として日本にやって来たハナミズキは、終戦まで続いた敵対関係のため、贈呈された40本の苗木は敵性樹木として切られたり廃棄されたりして、現在残っているのは都立園芸高校にある1本だけとのこと。平和な時代になって漸く、ハナミズキの庭木や街路樹に適した特性や四季それぞれの美しさが普通に認識され、再び日本人もアメリカ人もハナミズキに対して同じ感性を共有するようになったのではないか。一青窈の名曲"ハナミズキ"はアメリカ同時多発テロ事件を機会に作られ、"君と好きな人が百年続きますように"との歌は、何かあっても立ち直り、良い関係が永く続くよう祈っている。日本人がこのハナミズキを知って未だ100年余りだが、平和の大切さと日米の歴史を感じさせてくれる特別な存在だ。