合掌土偶 - 縄文のルネサンス

  縄文時代の土偶が作られた目的は、豊穣祈願、鎮魂、病気平癒などである。合掌土偶は、1989年に青森県八戸市の風張1遺跡から出土した。座った状態で両腕を膝の上に置き、正面で手を合わせて指を組んだポーズを取っているので合掌土偶と呼ばれている。この土偶は女性が祈っている姿とも出産の姿とも言われている。縄文時代の土偶の形式は幾つかのグループに分類される。例えば、立像、ハート形頭部像、遮光器形像など。しかし、この合掌土偶には類似品はなく独自の形状をしており、しかもその表情はリアルな人間のものだ。長い縄文時代の終盤に、ようやくルネサンスの時代を迎えたような気さえする。この合掌土偶は国宝に指定され、八戸埋蔵文化財センター是川縄文館に行けば会える。

  合掌土偶の作陶上のポイントは何といってもポーズ。人が普通に体育座りしているような恰好だし、体や手足のバランスも現代人と同じようなものなので、形は許容範囲。しかし、偽造品には釉薬をつけてしまったので、表面がテカテカで如何にもインチキ臭い。釉薬をかけなかったほうがマシだったかもしれない。ニセモノを作るのも結構難しい。【2018年制作】