サソリ - 優れた生存能力

 サソリ(蠍、蝎)は分類上は節足動物で、クモやダニに近い。サソリと言えば、砂漠のような過酷な環境に生息し、独特な体型をして、その尾には身を守るために強力な毒針を持つことで知られている。また、サソリは昆虫を捕食するが、獲物が乏しくなると代謝を下げて休眠に近い状態になり1匹の餌で1年間生き延びると言われている。なかなか、素晴らしい生存能力だ。しかし、日本では恐れ嫌われるものの例えとして"蛇蝎"(ヘビとサソリ)と言う言葉があり、何故か日本人には馴染みのないサソリが悪者扱いにされている。ヘビと同様に毒を持っているからだろうか、これは少々気の毒だ。

 作陶にあたっては、先ずサソリ独特の体形を表現すること。カニのはさみのような大きな触肢、硬い甲羅に覆われた頭胸部、それに続く腹部と尾。毒のあるサソリの象徴は尾の先端の毒針。本当は空中に尾を振り上げた威嚇のポーズにしたかったが、残念ながら、陶器の強度確保のためループを描いて尾の先は体に接続。目は目立たず、やや不気味。【2022年制作】