カブトガニ - カニではない古代武士

 カブトガニ(甲蟹、兜蟹)は節足動物だが、クモやサソリなどが含まれる鋏角類に属し、甲殻類であるカニではない。カブトガニの体は固い甲羅で覆われ、前方は半月形、後方の形はほぼ六角形で両側にトゲが6本あり、それに長い尾が続く。まさに兜を置いたような形をしている。カブトガニの祖先はカンブリア紀の三葉虫であり、海で進化したのがカブトガニとなり、陸上で進化したのがクモやサソリになったとの説もある。カブトガニはジュラ紀から現在の形になり、現在に続く生きた化石でもある。日本では、瀬戸内海と九州北部の沿岸部に生息する。かつては、田畑の肥料や家畜の飼料にもなっていた。しかし、最近では環境破壊により生息数は減少し、幾つかの繁殖地が県の天然記念物に指定されている。

 古代生物の生き残りはどれもユニークな形をしており、創作意欲を掻き立てる。しかし、硬い甲羅に覆われたカブトガニはどのように動き回るのだろうと想像しているうちに、直立不動の姿になってしまった。是非とも、生きたカブトガニを見てみてみたい。【2021年制作】