クリオネ - 寒流の妖精、それとも悪魔

 クリオネ(Clione)は、ハダカカメガイ属に属する貝の総称。南極や北極を囲む寒流域に広く分布し、日本でも北海道沿岸の海で一年中見られる。名はギリシア神話の文芸の女神クレイオーに由来。巻き貝の仲間だが貝殻は持たず、体長は3cm程度で、透明な体を通して赤い内臓だけが見える。この可愛らしい姿から、"流氷の天使"とか"氷の妖精"と呼ばれる。かつてソニーのカラーテレビの宣伝に登場し、一躍人気者になった。クリオネは海中を遊泳しながら、浮遊性の巻貝を捕食する。このとき、頭からバッカルコーンと呼ばれる6本の触手が伸び、これで餌を捕まえる。この突然の悪魔的なタコさんウィンナーのような変身は恐怖でもあり、滑稽でもある。クリオネは、妖精と悪魔の両面を持つ二重人格者だ。

 クリオネは小生物なので、海中をイメージする円柱形に、いくつかの個体を貼り付け、海中を浮遊しているように工夫した。この中には、勿論狩猟中のバッカルコーンも含めた。このように複数の対象物を並べると、日本の昔の縁起絵巻のように時間や空間が拡張されてようにも見える。【2021年制作】