アオミノウミウシ - ニヒルな漂流者

 アオミノウミウシ(青蓑海牛)は、軟体動物でアオミノウミウシ科に属するウミウシの一種。普通のウミウシは"海のナメクジ"と呼ばれる体型で岩礁やサンゴ礁に生息するが、アオミノウミウシは魚の胸ビレ、尻ビレ、尾びれに相当する部分に葉状の突起をもち、体は鮮やかな青紫で、大変目立つ体型をしている。暖かい外洋の表面近くを漂い、肉食性でクラゲなど餌にし、そのクラゲの毒を自らの体内に移して、外敵から身を守る手段としている。この美しくもあり、危険なアオミノウミウシは、"ウミツバメ"、"青い天使"、"青い竜"とも呼ばれている。

 作陶にあたっては、複雑な体の構造を表現することが先ず優先。海表面での漂流感を出すには体を上下にうねらせると良いのだが、これをすると焼成中の応力に耐えられないので、体を水平に曲げるだけにした。ただ最も表現しにくいのは表情で、目を持たない軟体動物の類は、感情が読み取れない。ニヒルな存在だ。【2023年制作】