鬼の悟り - 多聞院

 宝塔山多聞院は、所沢市中富にある真言宗豊山派の寺院。元禄時代に三富新田の開発にともない創建され、最近は花の寺として知られている。その境内に石像「鬼の悟り」がある。これは信徒の石工が奉納したもので、「わがままを通す人達への戒めを込めて、鬼が我慢している姿を石に彫った」と伝わっている。筋肉質の体を縮め、悟りを開いたように遠くを見つめる表情が素晴らしく、言い得て妙と感心した。

多聞院の石像「鬼の悟り」(2010年4月)

 我が家にも招来すべく作陶したが、筋肉のモリモリ感はなく、顔の表情も俗っぽさが残り、到底悟りの境地に至っていない。これでは「なり損ないの鬼の戸惑い」だ。当時の石工さんの表現力は素晴らしい。【2022年制作】