イセエビ - 脱皮の名人

 イセエビ(伊勢海老)はハレの席に、食用にと、日本人なら皆大好き。茨城以南の太平洋沿岸の浅い岩礁に棲む。夏に産卵後、フィロソーマ幼生というプランクトンとして1年位太平洋で浮遊生活を送り、30回程度脱皮を繰り返してエビらしい姿のプエルルス幼生へ変態して沿岸の藻場に1年以上棲み、さらに脱皮を繰り返して約3年、ようやく体長20cm程度の親エビになる。複雑な成長過程は未解明の部分はあるが、養殖の研究は進んでいるようなので大いに楽しみだ。こんなに苦労して育ったイセエビに対し、食べたいという気持ちがミエミエで情けない。何と、脱皮伊勢海老の唐揚げもあるような…。イセエビの姿は豪快にして繊細。固くて太く長い胴体に、多数の細い触覚や脚が機能的に並んでいる。それが有機的に連動して動き、精密なAIロボットのようで見ていても楽しい。

 作陶する上での難しさは、長い触覚や肢だ。胴体側は兎も角、先端部は土台にしっかり固定しないと焼成時の応力に耐えられず折れてしまう可能性大。特に、触覚は長いので太くしたり、途中で支えを入れた。その結果、スマートな見栄えとは程遠いゴツい姿になってしまった。けれども、割れずに完成してマァ良かった。【2022年制作】