アカヤガラ - 細長くても超高級魚

 アカヤガラ(赤矢柄)は、トゲウオ目ヤガラ科の海水魚。ほぼ全世界の暖かい海に棲息し、日本では本州中部以南の岩礁域や砂底に分布する。名の由来は、簳(やがら：矢の長い棒の部分)のように細長い魚で、赤いため。魚体は細長く、体長は最大2mにもなるが、その3割は頭部で、目から口の先までの距離が特に長い。このスポイトのような口で、岩場に隠れている小魚や甲殻類を海水と一緒に勢いよく吸い込み捕食する。背鰭、腹鰭はかなり後方にあり、それに二股に分かれた尾鰭と柔らかで長い筋が続く。実に、名は体を表す。驚きは、容姿だけではない。アカヤガラは、淡白な白身の超高級魚で、料亭でないとなかなかお目にかかれない。また、乾燥させたものは漢方薬として利用されたりする。一度で良いから、どんなものか食べてみたいものだ。

 アカヤガラの身体的特徴は明確なので、造形はし易いのだが、飛び抜けて長い魚体なので、颯爽と泳いている姿を陶器で創ると強度が不足して割れてしまいそう。このため、体を円くして海底に潜んでいる姿にした。このままだと、ぼーっと寝ている様に見えるので、長い口を少し持ち上げ獲物を狙っている風にし、肉食魚の獰猛さを表現した…が、やはり睡眠中のように見える。【2025年制作】