イネゴチ - 骨っぽく斑点模様が目立つ地魚

 イネゴチ(稲鯒)は、コチ科イネゴチ属の肉食性海水魚で、本州から九州、中国大陸の浅場に棲む。英語では"Spotted flathead"と言い、水玉模様(胡麻状の斑点模様)と、平たい頭が特徴だ。コチの仲間で、稲が伸びる頃に味が良くなるのでイネゴチと呼ばれる。既に作陶した同じコチ科のマゴチ(ここをクリック)は、夏が旬の高級食材として知られるが、イネゴチは少し小型で食味は悪くはないのだが、水産資源としては漁獲量が少なく、地魚もしくは雑魚の扱いだ。しかし、イネゴチには形態的特徴がある。骨っぽい魚で頭部と胴体の境界に3対の棘があったり、眼の虹彩皮膜は半円形であったりと、他のコチの仲間とは異なる点があり、なかなか個性的な姿をしている。
 造形にあたっては、頭部は幅広で低く、尾に近づくに従い幅は狭くても高さをキープして体型のフレームを表現する。骨っぽさの表現は、胸鰭、背鰭、腹鰭、尾鰭を目立つように大きめにして、その内部に小骨を表す線模様を描き、更に曖昧な目つきと後頭部の鋭い棘を目立たせる。それに加え、魚体表面の胡麻状の模様は、筆を立ててひたすら点描した。点描は濃淡の表現も容易なところが良い。【2025年制作】