干し柿づくり - 柿渋は何時抜けるか?
干し柿づくりの方法については、既に記事にした(ここをクリック)が、次の関心事は渋柿を外気に晒してどの程度の期間が経てば、食べ頃になるかだ。自宅2階の洗濯物を干すバルコニーの東西2か所に、各20個程度の柿を吊るした。東側は朝日があたり、西側は夕日が当たるが、温度や風の通り方は同じ。標準サンプルの柿を選び、毎日外観がどのように変化するか観測し、途中で試食して、食べ頃をチェックした。
■吊るした柿の外観の変化 (1)
表日本の太平洋側は、冬が近くなると乾燥した晴天が続く。北日本や裏日本出身者にとっては快適な天国のような気候だが、ドライ過ぎて何だが情緒がない。しかし、これが干し柿作りには適している。毎日撮影した柿の写真を並べてみると、丸かった柿の外形が次第に細くなり、且つ先が尖ってきた。色は次第に褐色を帯び、皮を向いた境目の線が皺のように目立つようになってきた。










■10日目の試食
標準サンプルとは別の柿を切り離し、試食をしてみた。一口頬張ると大変甘いので成功と思ったが、後味が少し可怪しい。先ず、渋みが少し残り、喉元がわずかにいがらっぽい。まだ、柿渋は、完全には抜けていないようだ。また、T字形の枝が取れて物理的に吊るせなくなった硬い渋柿と、少し柔らかくなり始めた渋柿を、焼酎とともにビニール袋に密閉したものを開けて試食した。硬い渋柿は充分甘かったが、やはり最後に渋みを感じた。柔らかかった渋柿は、もっと柔らかくなり手で持つと崩れそうなので、スプーンですくって試食したが文句なく甘い。焼酎に浸ける必要はなかったかもしれない。次の機会に確かめてみたい。

■吊るした柿の外観の変化 (2)
乾燥期間10日では、まだ充分に渋が抜けていないことが分かったので、更に外気に晒した。渋柿の外観は、最初の10日間と比較すると、変化量は小さいが、確実に細長くなってきた。表面の皺もより深くなってきたようだ。







■17日目の試食
渋柿を外気に晒して、そろそろ3週間になるので、標準サンプルとは別の柿を試食した。外観は標準サンプルとほぼ同じ。果物ナイフで二つに裂いてみると、外側の薄い皮は乾燥しているが、果肉は柔らかく力を加えると簡単に変形する程だ。食べてみると甘く、暫くしても渋みは感じない。これで、干し柿の必須条件である甘さはクリア。果肉の柔らかさは好みの問題なので、硬い干し柿にするには、更に外気に晒せばよい。





■結論
所沢付近の天候では、外気に3週間程度晒せば、渋柿は甘くなる。完成した干し柿の甘さは、市販の普通の甘柿より強いような気がする。柿の可溶性のタンニンが渋抜きによって不溶性に変わって、渋味を徹底的に排除できるためだろう。また、焼酎に浸した渋柿は実用的だ。大きな渋柿は、ネット販売などで安価に箱買いできるので、手間を少しかければ、特大の甘くできる柿が楽しめる。