干し柿づくり - いつの間にか晩秋の習慣に

 数年前の秋に、甲斐善光寺近くの山梨県地場産業センターに立ち寄った所、立派で高価な干し柿を売っていた。その傍らで、地元の農産物を販売するコーナーがあり、大きな生柿を売っていた。生産者に尋ねると、これは百目柿という渋柿で、専ら干し柿にするとのこと。百目の名称は重さの百匁(約375g)に由来し、富士山のような釣鐘型をしている。その立派さに目が眩んでついつい箱買いをして、自宅で干し柿を作った。これがまぁまぁの出来だったので、毎年干し柿を作る習慣になった。干し柿づくりの最初の課題は、材料となる柿の入手。百目柿は入手し難いので、今回は愛媛県産の大きな渋柿で、やはり富士山のような釣鐘型の愛宕柿にした。10kgの箱に37個入っていた。

愛媛県産渋柿の愛宕柿10kg箱

■方針
 干し柿の作り方は十人十色だが、環境や経験に基づき、次第に自己流のスタイルが出来上がる。干し柿作りでは、先ず確実に渋を抜くこと、そして乾燥中にカビがつかないことが重要。 渋抜きは、乾燥させることにより、渋柿の可溶性のタンニンが不溶性に変わって渋味がなくなり、甘味が強く感じられるようになるらしい。これは人の力ではどうしようもないので、乾燥が進むように自然の力に頼るしかない。カビ防止にについては、乾燥前に柿を焼酎に充分くぐらせることにする。

■皮剥き
 干し柿用の柿の果柄は、紐を掛け易いように枝をT字型に切ってある。しかし、萼の部分が枝と接近すると紐を掛けにくいので、先ずじゃまになる萼の一部を鋏で削除する。次にヘタの周りは凹凸もあるので、皮が残らないように包丁やピーラーを使って剥く。曲線の緩い部分の皮はピーラーを使うと効率的だ。

紐を掛け易いように、飛び出した萼を削除

包丁やピーラーで、ヘタの周りの皮が残らないように剥く

曲線の緩い部分の皮はピーラーを使うと効率的

■紐で結ぶ
 次に柿を干す場所を想定して、それに合わせて柿を紐で結ぶ。今回は自宅2階のベランダの洗濯干し場の一角に吊るすので、手摺に触れないよう1本の紐に4~6個の柿を吊るすことにした。

柿を干す場所に合わせ、吊るす柿の数を決める

■カビ防止対策
 柿の乾燥時のカビ防止対策として、剥いた柿をまんべんなく焼酎に浸す方法にした。熱湯に数秒つける方法よりも、安全で簡単。それに、枝が取れて吊るせなくなった渋柿や少し柔らかくなりかけた柿も、プラスチック製保存容器Ziplocに残った焼酎とともに入れて密閉し渋抜きができる。これはこれで、大きな生の渋柿が、食べ応えのある甘い柿になるので、10日後が楽しみだ。

1個ずつ焼酎に浸して、カビ対策をする

果柄が取れたり、柔くなりかけた柿は焼酎に浸し渋抜きする

■柿を吊るす
 2階の洗濯干し場に書きを吊るした。今年は異常な暑さが続いたが、再び夏日になることなく、晩秋らしく寒暖差の大きい乾燥した晴天が続くことを望む。虫は少なくなったが、野鳥は多いので、啄かれないように網でも張っておこうか。2週間後には試食してみよう。

柿を吊るせば、あと2週間の辛抱だ