ピアノ発表会の記録 – 録音CDと写真集

 最近の市中のピアノ教室の経営は大変そう。少子化の影響を受けて生徒が減り、しかも高学年になるにつれ勉強が忙しくなって教室を辞める生徒も多い。それに、住宅地ではピアノ教室はあちこちにあり、飽和状態。一方で最近の傾向としては、子育ての終わったシルバー世代が、趣味としてのピアノ演奏を楽しむため入門するケースが増えてきた。このように多様な生徒が増えてくると、演奏技術や音楽へのモチベーションを一層深めるための手段が必要だ。そのために、晴れの舞台であるピアノ発表会を設定して、それを目標にトレーニングする方法がある。幸いなことに、所沢市には所沢市民文化センターMUSEがあり、このような目的に適したキューブホールを利用できる。このため、同じ事情を抱える4つのピアノ教室が、合同でピアノ発表会を開催することになった。その記録として録音CD、写真集、集合写真の3点セットを制作することになった。

■音楽CD制作
 ピアノ発表会会場には技術スタッフがいて、ピアノの音を拾うマイクのセッティングや、音響システムを使って録音もやってもらえる。録音のアウトプットとしては、第1部の音楽CD(36分)と第2部の音楽CD(56分)の2枚。収録時間は合計92分。しかし、この中にはコンテンツとして意味のある曲や演奏者の紹介やピアノ演奏ばかりでなく、演奏者が舞台の袖から中央へ移動したり、礼、場合によっては椅子の調整など、意味のない時間も含まれるので、これらを削除して、音楽CDを制作する。
 先ず、MUSEのスタッフから貰った音楽CDのデータのコンテンツを編集可能な形式に変換する。CDをPCの光学ドライブに入れ、エクスプローラーで開くと、CDのトラック情報が記述された拡張子.cdaファイルしか見えない。CDのコンテンツを取り出すには、リッピング(Ripping)作業が必要。これには、Windows11付属のメディア プレーヤーでも可能で、その方法はウェブに記述されている。今回は、フリーウェアの使い慣れた音楽オーディオプレイヤーfoobar2000を使ってリッピングした。オリジナルの音源なので、ウェブから拾うCD情報は当然ながら"Object not found"、出力ファイル形式はwavにして変換した。
 次に個々の演奏ごとに、アナウンス部分と演奏部分を抽出して、1つのwavファイルにまとめていく。今回は、やはりフリーウェアの音楽編集ソフト Audacity を使った。

Audacityの編集画面

 各演奏ごとに、この操作を繰り返し、プログラムに掲載されている23個のwavファイルを抽出し、演奏順にユニークなファイル名をつけた。

演奏ごとに抽出したwavファイルの一覧

 これで音楽CDのコンテンツは確定できたので、これをCDメディアに書き込む。今回は、手持ちのCyberLink社のディスク管理ソフトPower2Goの書き込み機能を利用した。CDメディアの容量は640MBと700MBがあり、今回は後者を利用する。700MBのメディアだと80分まで録音が可能。全23wavファイルの再生時間は78分38秒なので、かろうじてCD1枚に収まった。書き込み開始に当たり、トラック番号が演奏順に並んでいるかを確かめて、書き込みを開始する。試しに1枚焼いた後、CDプレーヤーで再生し、内容を確認後、必要な枚数をコピーした。

Power2GoによるCDメディアへの書き込み

■写真集
 ピアノ発表会で演奏者を撮影する際は、演奏者の顔の表情や指使い、会場の雰囲気がわかることが重要。このため、座席の横一列をカメラマン席にしてもらい、正面からでも斜めからでも撮影できるようにした。特に連弾の撮影は、正面からだと2人の演奏者が重なってしまうので、この方法は必須。最近のデジカメは感度が高く、ズームで拡大しても手振れはしないので、ひたすら理想的な瞬間を狙ってシャッターを切る。しかし、人の表情は一瞬で変わるのでなかなかヒットしない。かなりの枚数を撮って、ピアノの先生に各演奏ごとに数枚を選んでもらい、それらを演奏ごとにフォルダを作って格納した。演奏者の方々には、写真集のDVDを見て、適当なものを、プリンターや街の写真屋さんでプリントしてもらうことにする。

■集合写真
 ピアノ発表会の最後は、集合写真の撮影。これは失敗が許されないので、数枚撮影した。集合写真は発表会の象徴として残すことも想定しているので、写真の最下部にピアノ発表会の名称、日付、場所を入れるようにとのこと。パソコンユーザーが普通に使うオフィスソフトでも挿入可能だが、問題は解像度が低下するので、ここではオープンソースで開発されている画像処理GIMPを使った。画像データに、テキスト層と白地の図形層を追加して、高解像度を維持しながら文字を挿入した。

■3点セット
 これで、ライブ録音CD、写真集DVD、紙の集合写真の3点セットが揃った。CDとDVDは、Canonのインクジェットプリンターの付属ソフトでラベル印刷をして、2枚収納可能なプラスチックケースに入れ、簡単な説明資料を挟んで、体裁を整えた。これで漸く3点セットが完成し、一件落着。最近は、薄いノートパソコンが主流になりつつあり、早晩光学ドライブが使えない環境になるかもしれない。すると次の記録メディアは、USBメモリか、それともウェブ配信かなどと、余計な心配をしている。

ライブ録音CD、写真集DVD、集合写真の3点セット