栗の渋皮煮 – 美味しいものは手間がかかる
狭山丘陵の麓には栗林が散在し、秋になると栗が稔り、時々無人の野菜販売スタンドで売られている。スーパーの価格の半額程度で手に入るので、散歩がてら無人販売スタンドで栗を見つけると、即買ってしまう。はじめに作った栗料理は、栗ご飯。栗の外側の鬼皮と実に接する渋皮の両方を取り除き、お米とともに最近の賢い電気炊飯器に入れると、自動的に栗ご飯を作ってくれる。これも充分に美味しいが、折角の機会なので、高級なデザートのイメージが強い栗の渋皮煮に挑戦することにした。
■調理手順
クックパッドなどによる栗の渋皮煮の一般的な調理手順は、
1. 皮を剥き易くするため、 5~10分ほど煮る
2. 鬼皮を向く
3. 渋皮の繊維を柔らかくしアクを抜くため、重曹を入れて弱火から中火で10分煮る
4.茹で汁を捨て、流水で洗い、手で擦ったり楊枝を使って余分な渋皮を除く
5.手順3~4を2回繰り返す
6.鍋に、栗の頭が浸る程度の水と砂糖を入れ、弱火で20分煮ると完成
■鬼皮剥き
では、早速作ってみよう。先ずは栗の鬼皮剥き。 使う道具は、新潟県三条市の諏訪田製作所製”栗くり坊主”。片方の刃はギザギザになっていて栗をガッチリ掴み、もう片方の歯で皮を削いでいく。最初は慣れが必要だが、使う程に効率が上がる。栗の底面にあたる”座”の部分から始め、外皮の稜線に刃を入れると、割と簡単に鬼皮は剥ける。次は、実の周りについた渋皮を薄く残す工程だが、これが大変だ。



■渋皮を薄く残す
渋皮は厚く残っているので、その繊維を柔らかくし、且つアク抜きのため重曹をを使う。重曹(炭酸水素ナトリウム NaHCO3)は様々な目的で使われるが、ここでは食品用のものを使う。

鍋に栗を入れ、栗が浸るほどの水に重曹を大匙1杯入れ、弱火で10分煮る。このとき、鍋の中で栗が踊らないように、水の量と火加減に注意。煮ると次第に渋皮の色が出て、鍋の中が見えなくなる程、濃い色になる。火を止め、流水で洗って、栗を一つずつ手に入取って、指の腹で優しくなでて渋皮を薄くし、実の表面に貼り付いている黒い筋は楊枝で除く。ここが最も手間のかかる作業だ。これを、あと2回繰り返す。但し3回目は重曹抜きで実施。

ここでのトラブルは、栗が崩れること。原因は、おそらく渋皮の一部が欠けたか、火力が強かったか、またはその両方かもしれない。崩れた栗は充分柔らかくなっていたので、過剰な熱履歴があったようだ。

■仕上げ
渋皮煮の材料としての栗は出来たので、これを甘く煮詰める。栗の頭が浸る程度の水と、三温糖150g、蜂蜜を適量入れて弱火で20分煮る 。煮詰めるとアクが出てくるので、こまめにすくう。火を消し、冷えたら完成。

■味見
早速、味見をする。栗ご飯も良いが、渋皮煮は何となく高級なデザートのように思える。紅茶とともにいただく。初めてにしては、案外美味い。難点は、実が少々柔らかいのと、虎刈りのように渋皮の濃淡が残っていることか。まだ栗の季節は続くので、リベンジしてみよう。
