スポッテッドガー - 試練に耐える古代魚

 ガーは、現生魚類の中で、恐竜時代から姿を変えていないといわれる古代魚のグループ。その中で、良く見かけるのは、スポッテッドガー(Spotted gar)と呼ばれる不規則な暗色の斑紋のある魚。米国のミシシッピ川や中南米に生息する淡水魚で、硬い鱗と長い吻(口)を持ち、体長は飼育下で60cm程度、肉食性で主に魚類を食べる。ロケットの様に尖った魚体が悠然と泳ぐ姿は人気があり、水槽での飼育が流行ったが、魚体が大きくなると河川への放流が相次ぎ、生態系への影響が危惧された。このため、特定外来生物に指定され、2018年には輸入、販売、飼育が禁じられた。本種の寿命は60年もあるので、生き残ったガーには世知辛い生活が待っているのだろう。
 美しく個性的なスポッテッドガーの造形は、鋭い歯を持つ長い吻、細長い流線型の魚体、泳ぎをコントロールするあちこちに配置されたヒレの動き、そして全身を覆う斑点模様がポイント。古代魚を造形するときは、いつもシンプルな構成ながら力強さを感じてしまう。【2024年制作】