ヨシノボリ - ダイナミックな滝登り

 ヨシノボリ(葦登)は、ハゼ科ヨシノボリ属の魚の総称で、多様な種が含まれる。アジアの熱帯から温帯の淡水から汽水域に広く分布。日本でも各地の河川や湖沼、渓流などに棲息。ヨシノボリは川で卵を生み、仔魚が海に下り、海で成長後、川を遡上する回遊魚。遡上の際に、吸盤状の腹鰭を使って、流れの横の濡れた岩場をさかのぼることもある。この様子から"葦にも登る"に例え、葦登の名がついた。見た目は、成魚でも5~10cmの小さく目立たない魚だが、生態はなかなかダイナミックだ。
 造形のテーマは、川を遡上するヨシノボリが難関の滝登りに挑戦している姿。ハゼの仲間独特の愛嬌のある頭を上げ、体を捩りながら水流に逆らい、腹鰭の吸盤も使いながら少しずつ前進する。更に、ヨシノボリが動くたびに変わる水の流れも表現した。少しは躍動感が感じられるだろうか。【2024年制作】