オキエソ - 外道にして高級食材

 オキエソ(沖鱛)は、ヒメ目エソ科オキエソ属の唯一の魚。世界中の熱帯から温帯の海に分布し、日本では南日本の暖流に面した地域に棲息。小骨が多くそのままでは食用にならないので、釣りでは外道扱いだが、蒲鉾などの魚肉練り製品の高級な材料になる。エソの仲間は、英名では"Lizardfish"(トカゲ魚)とか"Snakefish"(ヘビ魚)と呼ばれ、鋭く多数の歯をもつ大口の肉食魚で恐ろしい印象がある。その中で、オキエソはひときわ頭部が大きくて丸く、眼が前方に寄っているので何か愛嬌がある。また、体の側面には黄色と水色の縞模様があって、なかなかスタイリッシュ。しかし、海底の砂の中に身を潜め、眼だけを水中に出して小さな魚や甲殻類を狙う姿は、まさにエソそのもの。
 造形にあたっては、やはり顔。鋭い歯並びの大きな口と、それを覆う球形の大きな頭、そして睨みの効く両眼、これらの相対的な位置関係でかなり印象が変わる。結果的には、蒲鉾に尾鰭のついた魚のようなものが、のんびりと泳いでいるようだ。【2024年制作】