シノノメサカタザメ – これでもエイ
シノノメサカタザメ(東雲坂田鮫)は、サメではなくエイの一種。丸い頭部はエイのようだが、大きな背鰭や尾鰭などはサメのような形態を持つ。珍しい魚であるため、分類学上もDNA解析も含め紆余曲折があり、最近ノコギリエイ目シノノメサカタザメ科の唯一の種と認められている。日本近海を含む、インド太平洋の熱帯域の沿岸に棲息し、肉食性で、体長2.7m、体重135kgに達する。海外では漁業の対象になっており、(フカ)ヒレや肉が利用される。近年は乱獲で漁獲量が減り、準絶滅危惧種に指定した地域もある。
このような得体のしれない奇妙な形をした生物を、具現化するのも陶芸の楽しみである。体の後半の背鰭から尾鰭にかけては、サメに似た構造なのでなんとかなる。体の前半部は頭部と胸鰭だが、これをエイを思わせる形にしなければならない。頭部は、目と噴水孔の位置、そして後部に自然につながるような背の形状がポイント。口は頭の下にあるので、正面から見ると口がないように見えるのもご愛嬌。胸鰭はエイの横幅の大きさを表現するため思い切り広げる。何か整形手術でもするうちに、出来上がってしまった。本物のシノノメサカタザメは、日本では数か所の水族館で飼育している。是非、この不思議な姿を見てみたい。【2024年制作】



