エボシカメレオン - 妖しい爬虫類

 エボシカメレオンは、中東イエメンのカメレオンの固有種。生物学上の分類としては、爬虫綱、有鱗目、トカゲ亜目、イグアナ下目、カメレオン科に属すので、トカゲやイグアナとも親戚。カメレオンの特徴は、両目をそれぞれ別々に動かせ、立派な爪を持つ四肢と長くて巻ける尾でしっかり枝を掴み、舌を伸ばして虫を捕る。日本には自生していないが、その独特な存在感から多くの動物園で飼育している。最近では、個人で爬虫類を飼育するのがブームになっている。カメレオンもその対象になっていて、エボシカメレオンなその中でも人気者。オスの成体は頭部が上方へ高く伸びる様子が烏帽子に見え、背面と腹面の上には棘状の鱗が並び、体色は環境や気分によって変化するが緑色、オレンジ、褐色等の帯模様がある。如何にも妖しいカメレオンのイメージだ。しかし、ペットは機械仕掛けの生育環境の中にあり、飼育個体は輸入、もしくは日本で繁殖したものなので、この先を想像すると何か侘しい。

 エボシカメレオンの表現は、先ず立派な頭部、らせん状の長い尾、ガッチリした四肢、そして側面の帯模様。カメレオンの生態を考えると、枝の上に載せたいところだが、陶芸では強度的に無理なので、土台上を歩いてもらった。彩色のむらや曖昧さが、かえってカメレオンの体色変化を象徴しているかもしれない。しかし、不気味さより可愛さが目立ってしまった。【2021年制作】