サケ - ドラマチックな一生

 サケ(鮭)は、サケ科サケ属の魚。北太平洋と北極海の一部に棲息。サケは川底で孵化し、川を下って外洋で3~5年間回遊し、そして生まれ故郷の川に戻り、産卵後一生を終え、"ほっちゃれ"となって他の動物や魚の餌となって地上から消え去る。サケは日本各地の川で産卵をするので、呼び名も様々。十勝地方ではアキアジと言い、味噌仕立ての鮭鍋は石狩鍋ではなく十勝鍋、またはアキアジ鍋と呼ぶ。十勝川温泉の近くに千代田堰堤があり、産卵のために戻ってきた無数のアキアジが遡上する光景は見事だ。堰堤の前でウロウロしているアキアジは一網打尽に捉えられ、孵化場送りになる。秋の風物詩であるアキアジも、近年は温暖化のため数が減っている。この時期の沿岸ではサケよりブリの漁獲量が多いこともある。また、市場では南米や北欧の養殖物も増えている。サケの行く末はどうなるのだろうか。

 今回はサケが堰堤を越えるため、必死にジャンプしている姿を形にする。婚姻色をまとって体を折り曲げ、水の流れに立ち向かう。数年に及ぶサケの一生の中で、最後のクライマックスだ。【2020年制作】