タコブネ - 優雅なスタイル

 タコブネ(蛸舟)は貝殻を持つタコの一種。軟体動物門のタコ目アオイガイ科に属す。太平洋および日本海の暖海域に分布し、海洋の表層で暮らす。雌は卵を保護するために自ら分泌する物質で殻を作るが、雄には殻はない。雌の体長は8cm程度だが、雄はその20分の1程度で存在感は希薄。雌の作る殻は繊細で美しく、蒐集家の憧れの的となっている。他のタコと同様に肉食性。ただ体が小さく、めったに捕れないので市場には出ない。残念なことに、変わった生態の割には余り知られていない。

 タコブネの姿と言えば、殻から頭や足を出した雌の姿。この殻はやや透明であり、別のベクトルを持つ稜線が交差しているようでもあり、素晴らしいデザインだ。これを陶芸で表現するのは難しく、何やらヤドカリが貝殻を背負っているのと五十歩百歩の様な姿になってしまっ た。【2022年制作】