ナポレオンフィッシュ - 愛嬌のある巨大魚

 ナポレオンフィッシュは、スズキ目・ベラ科のなかで最大の魚。インド太平洋の熱帯海域に広く分布し、日本では南西諸島に生息。老成して大型になると目の上の額が瘤状に膨れ上がり、この形がナポレオン・ボナパルトの被っている帽子を思わせるため命名された。和名ではメガネモチノウオ(眼鏡持之魚)と呼ばれ、目を通る黒いラインが眼鏡をかけているように見えることに由来する。何れにせよ、顔が命の魚だ。体長は2mにもなり、浅い海の岩礁やサンゴ礁に生息する。繁殖期には群れを作るが、通常は単独で生活する。昼に活動し、海底付近で小魚や貝類等を捕食し、夜は岩陰で休む。巨体で愛嬌と迫力があり、水族館でよく飼育されている。白身で脂が程よく乗り非常に美味なので熱帯域の高級魚として珍重されていたが、2004年から絶滅が危惧種に指定。また、ベラ科なので雌性先熟の性転換魚でもある。

 ナポレオンフィッシュの形態上の特徴は大きな瘤と目を横切る線、大きな口、体側の網目状の縞模様、そして何よりも堂々と泳ぐ姿を想像させること。陶芸では、先入観なしに大きさやゆったり感を表現するのは結構難しい。 【2022年制作】