マダコ - 親しまれつつ食材に

 マダコ(真蛸)は、タコ目マダコ科に属するタコ。熱帯、温帯海域の東アジア沿海に分布。日本では本州以南に棲息。腕は8本、体は伸縮性に富みしなやか。体表には色素細胞が密集しており、数秒で体色を周囲の色に合わせて擬態ができる。昼は海底の岩場にひそみ、夜に甲殻類や二枚貝を食べる。その際には獲物を腕で絡め捕り、毒性を含む唾液を注入して麻痺させ、腕の吸盤で硬い殻もこじ開ける。海鳥やウツボ、サメ等の天敵が近づくと墨を吐き、敵の視覚や嗅覚をくらませる。腕を自切することもでき、欠けた腕はしばらくすると元通りに再生する。マダコの生態は思ったよりアクティブで波乱万丈だが、寿命は2~3年と短く潔い。欧米人はタコを悪魔の魚(Devil fish)と呼ぶが、日本人はダコを擬人的に扱い親しみを持ちつつ、同時に食材としても大好物。

 マダコらしさの表現は、形もさることながら、今回は皮膚の色調に注目。各部分の下地の色の上に色素細胞に相当する部分を点描する。釉薬を掛けて焼成すると表面にガラス質の膜ができ、少し立体的に見えるようになる。マダコのヌルヌル感が多少は表現できただろうか。【2022年制作】