モロクトカゲ - 砂漠のハイテク生物

 モロクトカゲはオーストラリアの砂漠に生息するトカゲの固有種。体全体に棘があり、古代中東の人身御供の神モロクの棘の多い姿を想像させることから命名された。モロクトカゲの歩行は四肢を踏ん張り尾を上げた状態で体を前後に揺すりながら進む。一度見たら印象に残る独特な行動だ。砂漠の過酷な環境で生き残るために、全身の皮膚には幅5~150μm細い溝が走っていて、これは全て口へ繋がっている。これにより、わずかな雨や霧からも効率よく毛細現象に依って水分を口に運び摂取することができる。身体自体にこの様な省エネルギー機構を持っているのは、特殊な歩行スタイルとともにハイテクロボットを思わせる。肉食性でアリを捕食する。オーストラリアの砂漠の環境以外では生きていけないので、現地に行くか、画像や映像でしか見られない。この羨望を誘引するミステリアスな存在も良い。

 作陶にあたっては、体を前後に揺らしながら歩行する姿を描きたい。ほぼ直立した形になってしまったが、もう少し前のめりにしたほうがリアルだったかも。【2023年制作】