ハナイカ - 海底の七変化

 ハナイカ(花烏賊)は、南日本の水深20~100mの浅い海に生息し、体長7cm程度のコウイカ類の一種。海底でエビやカニなどの甲殻類を捕食。ハナイカを印象づけるのは、特異な外観。外套膜がドーム状になっていて中央に2列と側縁沿いに多数の突起がある。頭部の後ろ寄りには耳型のヒレを持ち、目は大きく何を見ているか分からないような曖昧な瞳孔を持つ。前方には8本の触手と2本の触腕を持ち、触腕を使って海底を這うように移動。そしてハナイカと呼ばれる由縁は、餌の捕食時や天敵に出会って驚いた時などに、黄色や赤色の色合いが濃くなり、甲羅の縞模様がスキャンしたように移動する。あたかも電気仕掛けのイカロボットを見ているよう。寿命はわずか1年。最近はこの美しいイカを展示している水族館が増えているようだ。

 この変わった形を粘土で成形するには、丸みのある外套膜の部分と、複雑な形状をした頭部と触腕部分に分けて作り、つなぎ合わせる。体表面の色は刻々変化するので点描にしてそれらしくした。スタティックな表現はまぁ良いが、ダイナミックに変化の表現は陶芸では難しくお手上げだ。【2022年制作】