ヒキガエル - 点描のオブジェ

 ヒキガエルは、複雑な濃淡色をした皮膚、背中に散在する大小のいぼ状の隆起、側面の黒っぽい帯状の模様などが特徴である。実はヒキガエルと言う名のカエルは存在せず、正式には関東系のアズマヒキガエルと関西系のニホンヒキガエルが代表のようだが、その区別は容易ではなく、また個体による体色も茶系統と言えども様々。しかし、全身の物理的特徴からは、どんなヒキガエルもヒキガエル。ここでは、ヒキガエルの形とともに皮膚表面の微妙なヌメヌメ感も表現したい。この表現は絵の具で色を塗る手法では平面的、均一的になり上手くいかない。もっとラフな手法で、濃淡や明暗を付けられないか…、そこで思い出したのがある技法だ。フランスの化学者にして色彩学も研究したシュヴルール(Michel-Eugène Chevreul)と光学理論(これって正しいのかな?産業革命の時代だったのでノリノリだったのかも)をもとにしたと言われ、19世紀のフランスの新印象派画家スーラ(Georges Seurat)が実践した点描と呼ばれる技法だ。これを使い背中のいぼ状隆起部分は点を多く打ち、滑らかな部分は打点を減らす。そうすると立体的に見え、皮膚の模様や硬さ・柔らかさが表現できたように思う。【2020年制作】