タカアシガニ - 深海からの訪問者

 タカアシガニ(高脚蟹)は日本の深海に生息する巨大な蟹で、現生の節足動物では世界最大。生きた化石でもある。いつもは水深200~1500mに生息し、春になると水深50m程度の浅い海に移動し産卵する。脚は細長く、雄では3~4mになる。甲羅は40cm程度なので、甲羅に対し脚は極端に長く、他のカニとの区別は容易。なかなか個性的なスタイルだ。
 作陶に当たっては、カニをどのように立たせるかが課題。長く細い脚で甲羅を支えるのは作陶中も焼成中も困難と思ったので、甲羅尻の部分を海底に太い柱で接続し、脚には過剰な力がかからないようにした。しかし、焼成中の材料の伸縮のエネルギーは凄まじく、脚の付根や曲がり部分はズレてかろうじて表面の釉薬で繋がっていいた。この部分は念のため、透明の接着剤で補強した。想定外の現象も起きたが、何とか豪快なタカアシガニを眺められるようになった。